はじめに

高齢者が家庭内で転倒する場所として、多いのが「ベッドの周辺」です。
特に夜間や早朝、起き上がる動作のなかでバランスを崩し、転倒・骨折につながる事故が多発しています。
このような「万が一」に備える手段として、ベッドの横や下に敷く「衝撃緩和マット」があります。
衝撃緩和マットは、転倒時の衝撃を吸収し、高齢者の骨折リスクを軽減する
在宅介護でも無理なく取り入れられる介護用品です。
本記事では、衝撃緩和マットの種類や機能、選び方のポイントをわかりやすく解説し、 実際に使いやすく評価の高いおすすめ製品もご紹介していきます。
介護ベッド用衝撃緩和マットにはどんなものがあるの?
衝撃緩和マットの基本的な機能
衝撃緩和マットとは、高齢者の転倒時にかかる衝撃を吸収・分散する目的で作られたマットです。

内部には衝撃を吸収するためのウレタンフォームやゲル素材などが用いられており、 頭部・腰部・臀部といった転倒時に負荷のかかりやすい箇所へのダメージを軽減します。
特に介護ベッドのサイドや足元に敷くことで、ベッドからの転落や、立ち上がり時のふらつきによる転倒に備えることができます。
どんな場面で使われる?使用シーンの具体例
以下のようなシーンで活用されることが多くなっています:
- 夜間、ベッドからの転落リスクがある高齢者に(就寝中の無意識な動作による落下防止)
- 認知症があり、夜間に徘徊する傾向のある方に(転倒によるけがを防ぐ)
- 起き上がり・立ち上がり時に足元がふらつきやすい方に(起床時のバランス補助)
さまざまな製品があり、敷くだけで使える簡単設計も魅力です。
ベッド上からの転落リスクがある方には、超低床ベッドという選択肢も検討してみる

ベッドから転落のリスクがある場合、ベッドを床に近い高さまで下げることができる超低床ベッドも役立ちます。
超低床ベッドについては、こちらの記事をご参照ください。
介護ベッドサイド用衝撃緩和マット選び方のポイント
衝撃吸収性能が十分かどうか
マットの性能で最も重要なのが「衝撃吸収性」です。
転倒による骨折防止には、頭部や臀部への衝撃吸収性が高い製品が安心です。
マットの厚みでつまづかないか
あまりに厚みがありすぎると、かえって足を引っかけて転倒する可能性があります。
つまずきにくく、衝撃をしっかり吸収する厚みの製品を選びましょう。
滑りにくい材質か
マット表面または裏面が滑りやすい製品は安全性が低く危険です。
ノンスリップ加工や裏面に滑り止めが付いている製品がおすすめです。
サイズは設置場所に合っているか
介護ベッドの横幅や周囲の家具配置を考慮して、90×180cmや60×120cmなどのサイズ選定が必要です。
拭き取り可能かなど清掃性の確認
床に直接敷くマットは、汗やホコリ、汚れが付着しやすいため、 防水加工や拭き取りやすい素材で作られているかを確認しましょう。。
ベッドの形状や介護者の動線を妨げない設計か
介護者がベッドサイドで介助を行う場合や車いすを使用する場合などは、厚みや幅があると邪魔になることがあります。用途に合う厚みや材質を選ぶことも気を付けたいポイントです。
使う人の身体状況(寝たきり/自立歩行)を考慮
歩行ができる方と寝たきりの方では、マットの使い方が異なります。
例えば、自立歩行が可能な方にはつまずきにくい厚みのマット、 寝たきりの方には転落時に重点を置いた幅広で厚みのあるマットが適しています。
介護ベッドサイド・ベッド下におすすめの衝撃緩和マット8選
ワンダーマット/アクションジャパン

特徴
- 厚さわずか5mmの超薄型衝撃吸収マット
- 転倒時の衝撃を緩和し、骨折リスクを軽減
- 薄型設計でつまずきにくく、車いすでも乗り越え可能
- 表面は滑りにくく、安全性に配慮
- 拭き取り掃除で清潔維持可能

素材
特殊ポリウレタン(PORON®)
カラー
グレー/ブラウン

サイズ
- S:90×100cm(約0.7kg)
- M:100×150cm(約1.1kg)
- L:150×180cm(約1.6kg)

Multi Mat むにゅ/エー・エム・プロダクツ(株)

特徴
- ベッドや椅子からの転倒時に衝撃を緩和する高反発クッションマット
- 抗菌・難燃・防炎・撥水加工で安全性と衛生性を両立
- 厚さ1cmで段差が少なく、歩行や車いすの移動を妨げにくい
- 転倒時に衝撃を吸収するだけでなく、足元の安定感も高める
- 丸めて収納可能で設置や移動も簡単

素材
ポリ塩化ビニール
カラー
ベージュ/ブラウン
サイズ
幅46cm × 長さ122cm
幅61cm × 長さ91cm
(いずれも厚さ:1cm、重量:約1.7〜1.9kg)
ケアソフトクッションキング/山崎産業

特徴
- 弾力性と柔らかさを兼ね備えたクッション性の高いマット
- 衝撃吸収に優れ、転倒時のけがリスクを軽減
- 長時間立ち仕事による疲労軽減にも効果あり
- 0.9cmの厚みで、つまずきにくい設計
- 水拭き可能でお手入れ簡単。滑り止め付き

素材
発泡塩化ビニール
カラー
ブルー/グレー

サイズ
- 61×91×0.9cm(約2.0kg)
- 91×122×0.9cm(約4.4kg)
- 91×152×0.9cm(約5.4kg)
安心クッションマット/テラモト

特徴
- ベッドやトイレ周りでの転倒による衝撃を緩和
- 足腰にかかる負担も軽減する高クッション性マット
- 表面は滑りにくく、つまずきにくい厚み設計(1.5cm)
- 拭き取り掃除で衛生維持可能
- 高耐久で長く使用可能。床暖房上でも使用可


素材
PVC発泡シート
カラー
ブラウン系
サイズ
- 60×90×1.5cm
- 60×150×1.5cm
- 90×180×1.5cm
衝撃吸収マット/ピジョンタヒラ

特徴
- ベッドからの転落による衝撃をしっかり緩和
- ウレタンフォームと高密度カバーで高い安全性を実現
- 折りたたみ式で持ち運びや収納も簡単
- 滑りにくく、ズレにくい加工付き
- 衝撃緩和に優れた構造で施設・在宅どちらでも使用可能


素材
中材:ポリエチレンフォーム+ウレタンフォーム
カバー:ポリエステル(防炎・防水・抗菌加工)
カラー
ネイビー系(縁:オレンジ)
サイズ
180cm × 65cm/厚さ 約4cm/重量 約2.7kg
ヨッコイショ 衝撃吸収マット/(株)ニシウラ

特徴
- ベッドからの転落時の衝撃を軽減するマットレス構造
- 表面は防水・撥水・抗菌仕様で衛生的に使える
- 適度な硬さで衝撃をしっかりキャッチ
- 折りたたみ可能で収納や持ち運びも便利
- すべりにくく安定した設置が可能

素材
- カバー表面:ポリエステル
- カバー裏面:PVCコーティング
- 中材上層:ポリエチレン
- 中材下層:ウレタンチップ
カラー
ブルー系
サイズ
182cm × 65cm × 厚さ4cm
重量:約2.0kg
ころやわマット/Magic Shields

特徴
- 歩行安定性と衝撃吸収性を両立した安全設計
- 床に置くだけで転倒骨折リスクを低減
- 自然な歩行感で普段使いにも最適
- 転倒時にはしっかり衝撃を吸収し、通常歩行時は沈み込まない構造
- スロープ付きでつまずきにくい
- 床材風のデザインで居室にもなじみやすい


素材
衝撃吸収構造体、エラストマー(スロープ)
カラー
木目調(ナチュラル)
サイズ
- S:120×90×1.2cm(約3.4kg)
- M:150×90×1.2cm(約5.1kg)
- L:180×120×1.2cm(約7.3kg)
ズレないクッション #180(衝撃用)/サニア工業(株)

特徴
- 裏面は合成ゴム製でズレにくく、安全性が高い
- 斜めカット加工によりつまずきを軽減
- 通気性メッシュ素材と低反発ウレタンを組み合わせた3層構造
- マットレスの硬さに応じて上面はやわらかめ、裏面は滑り止め効果
- 転倒リスクのある場所でも安定して使用可能

素材
- 表地:ポリエステル100%
- 中材:低反発ウレタンフォーム
- 裏地:合成ゴム(ノンスリップ)

カラー
- グレー(SHC-180)
- ブラック(SHC-180B/防水タイプ)
サイズ
- 70cm × 180cm × 厚さ4cm
- 重量:約2.7kg

まとめ
「夜中にベッドから落ちてしまったらどうしよう…」
「立ち上がるとき、足元がふらついて心配…」
そんな不安を感じている時、今回ご紹介した衝撃緩和マットは、
ベッドの横や足元に敷くだけで、転倒時のケガのリスクを減らせる介護用品です。
本記事では、衝撃緩和マットの種類や選び方をまとめ、売れ筋の製品をご紹介しました。
衝撃緩和マット選びでとくに大切なのは、この4つ:
- 衝撃をしっかり吸収してくれるかどうか
- 厚すぎてつまずく心配がないかどうか
- ズレにくく、安全に使えるかどうか
- 設置スペースや使う人に合ったサイズになっているかどうか
素材や厚み、機能性は商品ごとにさまざまですので、
「どれが自分たちの介護環境に合うのか」この記事が役立ってもらえると幸いです。
福祉用具専門相談員9年目。日々の業務での福祉用具に関する知識や様々な情報を発信します。ツイッターも見て頂けると嬉しいです。
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