はじめに┃外出時に多い車椅子ユーザーの悩み
外出時の天候や日差しは、車椅子ユーザーにとって日常の外出をためらってしまう要因になりやすいものです。
雨の日や夏場の強い日差しは、「外に出たいけれど不安」「準備が大変」と感じる原因にもつながります。
雨の日に傘を差せず困る場面
車椅子での雨天外出では「傘を持つ手が足りない」ことが最大の悩みです。
車椅子は両手で操作するため、一般的な傘を差すとハンドリムが握れなくなってしまいます。
傘をさすと、片手運転になり、進行方向が安定しなかったり、ブレーキ操作が遅れたりすることがあります。
駅までの500mを移動するだけでも、濡れる・止まりにくいといった小さなストレスが積み重なります。
日傘を使いたいが手がふさがる問題
日除けや紫外線対策として日傘を使う方が増えていますが、車椅子ユーザーの場合は、日傘を持つと操作が制限されるため、「帽子やタオルで我慢する」という声も少なくありません。
しかし、直射日光を長時間受けると体力を消耗しやすく、外出自体を控える原因になることもあります。
傘以外の選択肢として車椅子用レインコートもある
雨対策というと傘が思い浮かびますが、車椅子用レインコートを使うという選択肢もあります。
車椅子用レインコートは、利用者の上半身から膝元、場合によっては足元まで覆える設計になっており、雨に濡れにくいのが特徴です。
両手が完全に自由になるため、操作性を重視したい方や、風の影響を受けやすい日には特に向いています。
外出距離や天候に応じて、傘ホルダーと使い分けることで、より無理のない雨対策がしやすくなります。
車椅子用傘ホルダー(傘スタンド)でできること
こうした悩みを解決する方法として注目されているのが、車椅子用傘ホルダー(傘スタンド)です。
傘ホルダーを使うことで「両手を使った安全な操作」と「雨・日除け対策」を同時に実現できます。
傘・日傘を固定して両手が空く
傘ホルダーは、車椅子のフレーム部分に取り付けて傘や日傘を固定する用品です。
これにより、傘を手で持つ必要がなくなり、両手でしっかり車椅子を操作できます。
直径90cm程度の一般的な傘を固定すれば、上半身をしっかり覆いながら移動できます。
雨天・強い日差しの中でも外出しやすくなる
傘ホルダーを使うことで、「天候が悪いから外出をやめる」という選択を減らせます。
急な雨や日除けとしても対応できるため、通院や買い物など日常の外出がスムーズになります。
車椅子用傘ホルダー(傘スタンド)の種類と特徴
一口に傘ホルダーといっても、構造や使い勝手には違いがあります。用途に合ったタイプを知ることが大切です。
固定式タイプの特徴
固定式タイプは、傘の角度や位置がある程度決まっているシンプルな構造です。
取り付けが簡単で、価格も比較的抑えられている点が特徴です。
短時間の外出や、雨対策を中心に考えている方に向いています。
角度調整ができる可動式タイプの特徴

可動式タイプは、傘の角度や高さを細かく調整できます。
日差しの向きに合わせて調整できるため、日傘として日除け対策に使いたい方に適しています。
その分、構造はやや複雑になりますが、使い勝手を重視する人に選ばれています。
失敗しない選び方のポイント
購入後に後悔しないためには、いくつかのポイントを事前に確認することが重要です。
車椅子のフレーム形状・パイプ径への対応
まず確認したいのが、車椅子のフレームに取り付けられるかどうかです。
多くの製品は直径22〜25mm程度のパイプに対応していますが、必ず事前にサイズを確認しましょう。
使用できる傘・日傘のサイズと重さ
使用する傘や日傘が重すぎると、ホルダーの固定部分に負担がかかり、走行中にぐらついたり安定性が下がったりする原因になります。
屋外では、わずかな重さの差でも操作感に影響が出やすいため注意が必要です。
一般的には、重さ500g前後までの傘を目安にすると扱いやすく、傘ホルダー本来の性能を活かしやすくなります。
軽量タイプの傘や日傘を選ぶことで、長時間の外出でも負担を感じにくくなります。
角度調整・高さ調整の有無
日傘として使う場合や、風雨に対応する場合は、角度調整機能があると便利です。
日差しの向きや雨の降り方は状況によって変わるため、傘の角度を微調整できることで、顔や上半身に直接当たるのを防ぎやすくなります。
また、高さ調整ができるタイプであれば、利用者の体格や座面の高さに合わせやすく、視界を遮りにくい位置に傘を固定できます。
屋外使用を想定した安定性・固定力
屋外では風の影響を受けやすいため、しっかり固定できる構造かどうかも重要です。
ネジ止めやクランプ式など、固定方法を確認しましょう。
使用時に知っておきたい注意点
便利な傘ホルダーですが、安全に使うための注意点もあります。
段差や風が強い日の取り扱い
強風時は傘があおられ、バランスを崩す原因になります。
風が強い日は使用を控える、または傘を閉じる判断も必要です。
周囲の歩行者や視界への配慮
傘の位置によっては、周囲の人や視界を遮ることがあります。
人混みでは角度を調整するなど、周囲への配慮を心がけましょう。
使わないときの収納・取り外し
使わないときは取り外せるタイプを選ぶと、保管や持ち運びが楽になります。
傘ホルダーと車椅子用レインコートの使い分け
雨対策には複数の方法がありますが、結論としては「外出シーンによって使い分ける」ことが最も無理のない選択です。
それぞれの特徴を知っておくことで、自分に合った対策を選びやすくなります。
傘ホルダー(傘スタンド)が向いているケース
傘ホルダーは、短時間の外出や小雨の日に向いています。
傘や日傘を固定しながら両手で車椅子を操作できるため、通院や買い物など日常的な移動に取り入れやすいのが特徴です。
日傘として使える点も大きなメリットで、紫外線対策をしながら外出したい方にも適しています。
車椅子用レインコートが向いているケース

一方で、雨が強い日や風の影響を受けやすい日は、車椅子用レインコートが向いています。
身体全体を覆えるため、濡れにくく、傘があおられる心配も少なくなります。
長距離の移動や天候が不安定な日の外出では、安心感を重視した選択といえるでしょう。
併用・使い分けで外出の選択肢が広がる
傘ホルダーとレインコートは、どちらか一方に決める必要はありません。
天候や外出時間に応じて使い分けることで、雨の日でも無理なく外出できる環境を整えやすくなります。
おすすめの車椅子用傘ホルダー(傘スタンド)製品紹介
かさキャッチシリーズ(車椅子・ベビーカー・シルバーカー向けタイプ)/第一精工
特徴
・車椅子・ベビーカー・シルバーカーなどに対応する汎用タイプの傘固定ホルダー
・カーボン・グラス繊維入り強化樹脂を使用し、粘り強く耐久性に優れた構造
・取付位置のパイプ形状に合わせて使える2種類のブラケットが付属し、幅広い車体に対応
素材
・強化樹脂(カーボン繊維・グラス繊維入り)
カラー
・ブラック
取付パイプサイズ径
・直径22~30mm対応
・細いパイプの場合は付属のゴムパイプを併用
どこでもさすべえ固定式/ユナイト
特徴
・車椅子のフレームなどにどこでも取り付けできる固定式の傘スタンド
・360度回転構造で可動範囲が広く、前後の位置調整にも対応
・付属レンチを使って簡単に取り付けでき、ガッチリ固定しやすい設計
素材
・硬質プラスチック、金属
カラー
・グレー
取付パイプサイズ径
・直径16~25mm対応
後付け日除け H-19/松永製作所
特徴
・車椅子に後付けできる日除けタイプで、屋外移動時の日差し対策に使える
・任意の位置に取り付けできる構造で、使用環境に合わせて調整しやすい
・シンプルなフレーム構造で、後付け用品として扱いやすい設計
素材
・スチール、ポリエステル
カラー
・ブラック
サイズ
・カバー:約40×40cm
傘ホルダー/Unique Spirit

特徴
・固定部・傘軸部・補助支え部の3点で支える三角サポート構造を採用し、強風時でも傘が倒れにくい設計
・高さと角度を自由に調整でき、利用者の体格や取付位置に合わせやすい構造
・金属部品を極力使わないABS樹脂製で、サビに強く耐久性を重視したつくり
素材
・ABS樹脂
サイズ
・全長:約27.5~28cm(展開状態)
・アーム長:約15cm
・下部支柱長:約21~22cm
・調整幅:約10.5cm
取付パイプサイズ径
・直径25~32mm対応
まとめ
車椅子での外出では、雨や強い日差しが移動のしにくさにつながり、外出自体をためらう原因になりがちです。
傘や日傘を手で持つ必要があると、操作性が下がり、不安を感じる場面も増えてしまいます。
そこで役立つのが、車椅子用傘ホルダー(傘スタンド)や車椅子用レインコートといった雨・日除け用品です。
両手を使って車椅子を操作できる環境を整えることで、外出時の負担を減らしやすくなります。
本記事では、製品選びで失敗しないために、以下のポイントを重視して解説しました。
- 車椅子のフレーム形状や取付パイプ径への対応可否
- 傘や日傘のサイズ・重さによる安定性への影響
- 角度調整や高さ調整機能の有無による使いやすさ
- 強風時や人混みでの安全面に配慮した注意点
また、外出距離や天候に応じて、傘ホルダーとレインコートを使い分ける考え方も紹介しています。
自分の生活スタイルに合った対策を選ぶことで、無理のない外出環境を整えやすくなるでしょう。
本記事を参考に、最適な車椅子用傘ホルダーを見つけていただけますと幸いです。
介護用品情報サイト「介護マーケット」を運営している、もっちゃんです。
2015年に福祉用具専門相談員の資格を取得し、10年以上にわたり現場での選定・適合に携わっています。
このブログでは、カタログのスペック説明ではなく、「実際の現場で本当に役立った知識」に絞って情報を発信しています。
「どんなに高機能な道具でも、使う人の体や環境に合わなければ意味がない」
私がこのブログを運営する最大の理由は、
「どんなに高機能な福祉用具(介護用品)でも、使う人の身体や環境に合わなければ意味がない」
ということをお伝えしたいからです。
介護するご家族のために、良かれと思って購入した用具が、かえって生活を不便にしているケースによく出会います。
車椅子の「サイズ・機能」: 「カタログの全幅だけを見て購入し、移乗に必要な機能が備わっていなかった」
車椅子の「高さ」: 「座面が高すぎて小柄な方が足を踏ん張れず、姿勢が崩れてしまった」
手すり: 「工事不要の軽量手すりを安易に設置したが、体重をかけるとグラついてしまい、怖くて使えない」
こうしたミスマッチは、製品が悪いのではなく、「選び方のポイント」が少しずれていただけなのです。
そのため当ブログでは、メリットだけでなく「こういう人には合いません」「この環境では使いにくいです」といった注意点も、包み隠さずお伝えするようにしています。
このブログで扱うテーマ
介護に関わるご家族や支援職の方に向けて、生活動作を助ける用具の情報を発信しています。
介護ベッド(搬入経路の確認、身体状況に合わせたマットレスの選定など)
車椅子(自走・介助の判定、姿勢保持機能、フットサポート・アームサポートの調整など)
歩行関連(屋内・屋外の歩行器、転倒予防の靴選び、スロープの勾配確認など)
生活支援(手すりの設置位置、入浴・排泄用具の適合など)
「初めての介護で、何から準備すればいいか分からない」 「商品が多すぎて、どれが親に合うのか選べない」
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