はじめに
高齢者の肌トラブルの一つに表皮剥離があります。
その予防策に悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、表皮剥離の予防に役立つアームカバーについて、 どんな商品があり、どう選べばよいのかをご紹介します。
高齢者の肌がデリケートになる理由
高齢者の肌は、加齢に伴って乾燥しやすくなります。
加齢により肌が薄くなったり、摩擦や圧力といった外的刺激に対して敏感になりやすくなります。また、血行不良や新陳代謝の低下によって、肌の回復力も弱まることもあります。
そのような状態になると、軽くこすれただけでも赤みや皮むけなどの変化が起きやすくなるため、日常生活の中で肌を守る工夫が欠かせません。
高齢者の表皮剥離で気をつけたい場面
衣類の着脱時や移動時
長袖の服を脱がせる際、袖が肌に引っかかったり、無意識に力が加わったりすると、皮膚に摩擦が生じやすくなります。
特に冬場など重ね着が多い季節は注意が必要です。
ベッドから車椅子への移乗や体位変換時に、腕がシーツや衣類とこすれることで肌に刺激が加わる場合もあります。
室内外の温度・湿度の差
暖房の効いた室内から冷たい外気に触れることで、肌の乾燥が進みやすくなります。
乾燥した状態の肌は、わずかな刺激にも敏感になり、ダメージを受けやすい傾向があります。
日常的な身体介助や接触時
入浴介助やおむつ交換、着替えの際など、介助者が腕や肩を支える場面では、気づかぬうちに力が加わり、肌に負担がかかることがあります。
介助中の衣類の摩擦やベッド柵などとの接触も刺激の原因になり得ます。
表皮剥離の予防を意識したアームカバーの役割
表皮剥離予防に役立つアームカバーの特徴と目的
アームカバーは、主に高齢者の腕をやさしく包み込むことで、日常生活で起こりやすい摩擦や衝撃から肌を守る役割があります。
衣類の袖口やシーツ、ブランケットなどと肌がこすれることで起きる刺激を和らげるために使用されます。
素材によっては保湿効果や保温効果も期待でき、乾燥しやすい季節には肌のコンディションを保つサポートにもなります。
就寝時にアームカバーを装着することで、寝返り時に腕が布団とこすれるのを防ぎ、肌へのストレスを軽減することが期待できます。
移動や介助の際も、アームカバーをつけていることで直接的な摩擦を減らし、安心感を与える役割も果たします。
使用が考えられるシーン
車椅子やベッドの移動時
ベッドから車椅子への乗り移りや体位変換の際、腕がベッドの柵や車椅子のひじ掛けに接触することがあります。
アームカバーを装着しておくことで、肌への直接的な摩擦を軽減し、肌をやさしく守るサポートになります。
着替えや介助のタイミング
衣類の袖を通すときや脱がせるときに、袖口が腕に擦れてしまうことがあります。
介助者が腕を支えるときに生じる圧力や引っ張りにも注意が必要です。
アームカバーがあることで、これらの接触による刺激を和らげることができます。
乾燥しやすい季節の肌ケア
冬場や空調の効いた室内では、肌が乾燥しやすくなります。
乾燥した状態の肌は刺激に敏感になりやすいため、アームカバーによって適度な保温と保湿をサポートすることで、肌のバリア機能を維持しやすくなります。
表皮剥離予防に役立つアームカバーを選ぶときのポイント
素材のやさしさ
アームカバーを選ぶうえで最も大切なポイントのひとつが、「肌へのやさしさ」です。
高齢者の肌は乾燥しやすく、少しの刺激でも赤みやかゆみが出ることがあります。
直接肌に触れるアームカバーには、なるべく刺激の少ない天然素材を選ぶと安心です。
綿(コットン)は通気性・吸湿性に優れ、汗をかいてもムレにくく、肌触りもやわらかいため、オールシーズン使いやすい素材です。また、シルク素材は滑らかで保温性にも優れており、肌が敏感な方でも快適に使用できます。
冬場のように空気が乾燥する時期には、保湿加工が施された素材のアームカバーを使うと、肌のうるおいを逃しにくくなります。夏場であれば、通気性の高いガーゼ素材やメッシュ素材のものが適しており、汗をかいてもべたつきにくいのが特長です。
素材の特徴を理解して季節や使用環境に合わせた選び方をすることで、快適かつ安心して日常生活に取り入れることができます。
サイズとフィット感
アームカバーのサイズとフィット感は、快適に長時間使うための大切な要素です。
腕が細めの方には伸縮性がある素材で適度にフィットするものがおすすめです。
一方で、むくみが出やすい方や腕回りに余裕が必要な方には、サイズ調整が可能なマジックテープ式やゴム口が柔らかいタイプが向いています。
快適さを重視しながら、日常生活でしっかりフィットするアームカバーを選びましょう。
お手入れのしやすさ
アームカバーは日常的に使うアイテムのため、手入れのしやすさも選ぶポイントになります。
高齢者の肌に直接触れるものなので、清潔な状態を保つことが快適な使用につながります。
綿やポリエステルなどの素材で作られたものは、家庭用の洗濯機で繰り返し洗えるタイプが多く、手間なく衛生管理がしやすいのが特長です。
速乾性のある素材や薄手の設計であれば、夜に洗って翌朝には乾くため、毎日使う方にも負担になりにくいです。
抗菌加工や防臭効果のある素材を選べば、夏場や汗をかきやすい時期でも安心して使い続けることができます。
洗濯回数が増えても型崩れしにくい耐久性のある製品を選ぶことも、お手入れの面では大切なポイントです。
お手入れのしやすさに配慮することで、毎日の介護やケアをスムーズに行う手助けになります。
高齢者の表皮剥離予防に役立つアームカバーおすすめ製品
メディキュア アーム・レッグカバー(男女兼用) NP9007/グンゼ

特徴
- 肌にやさしくフィットする低刺激仕様(綿・レーヨン混素材)
- 繰り返し洗濯しやすく、汚れが落ちやすい加工
- 縫い目が少なく、タグも印刷仕様で肌への刺激を軽減
- カットして指穴などを自分で調整できる切りっぱなし設計
- ブラックカラーは紫外線を99.9%カット(UPF50+)
- スキンテア(皮膚裂傷)対策としても提案されている
素材
- レーヨン:50%
- 綿:40%
- ポリウレタン:10%
カラー
- オフホワイト
- フレッシュピンク
- ブラック
サイズ
- Mサイズ:横幅 8.5cm × 長さ 43.5cm(腕用)
- Lサイズ:横幅 11.0cm × 長さ 43.5cm(脚用)
- LLサイズ:横幅 14.0cm × 長さ 43.5cm(太もも用)

肌にやさしいアームカバー ロング・ショート/オオサキメディカル

特徴
- シャント肢用アームカバー
- シルク配合でやさしい肌触り
- 締めつけ感が少なく、ズレにくい設計
- 手の甲まで覆えるロング設計(※ショートもあり)
- 高いUVカット性能(UPF50+、UVカット率98%以上)
- 抗菌防臭加工つきで衛生的
- シャント部に優しくフィットしやすい柔らか構造
素材
- レーヨン 77%、ナイロン 15%、綿 5%、ポリウレタン 3%
カラー
- グレー(ロング/ショート)
- ベージュ(ロング/ショート)
サイズ
- ロング:幅8cm × 長さ44cm
- ショート:幅8cm × 長さ22cm(いずれもフリーサイズ)

ダーマカバー 腕用(DCA01/DCA02)/ベーテル・プラス

特徴
- 外部刺激から肌をやさしく保護
- ソフトで快適な装着感、肌への負担を抑えた縫製
- スキンテア(皮膚裂傷)予防としても使用可
- 日焼け止めアームカバーとしても活用可能
- 紫外線を約99%カット(UPF50+仕様)
- ラテックスフリー仕様
素材
- ナイロン、ポリウレタン(混合素材)
カラー
- オフホワイト
- ブラック
サイズ
- フリーサイズ(腕用)
- 1袋に2枚入り
まとめ
高齢者の肌を守る工夫は介護をするうえでも大切なケアのひとつです。
高齢者の肌トラブルである表皮剥離の予防には、日常的な配慮が欠かせません。
アームカバーはその対策として、簡単に取り入れられる介護用品のひとつです。
本記事では、使用シーンや選び方のポイント、商品例をご紹介しました。
- 衣類や寝具との摩擦をやわらげ、肌を守る役割があること
- 高齢者の腕にやさしくフィットする素材やサイズ選びが大切
- 季節や生活環境に応じて適した素材を選ぶこと
- 洗いやすく、毎日使いやすい構造であること
こうした点を押さえて選ぶことで、肌トラブルの予防や快適な介護環境づくりに役立ちます。
本記事を参考に、状態に応じたアームカバーを選んでいただけますと幸いです。

介護マーケットを運営しているもっちゃんといいます。
このブログでは、介護に関わるご家族や支援をされている方に向けて、介護ベッドや靴、手すりなど、日常で役立つ介護用品の情報をまとめています。
これまで多くのご家庭や施設で介護用品の選定をお手伝いしてきました。
現場で感じた体験をもとに、記事を書いています。
「初めての介護で何を選んだらいいのかわからない」
「商品がたくさんあって違いがよくわからない」
そんな時に、少しでも参考にしていただけるブログになれば嬉しいです。