はじめに
福祉用具専門相談員のもっちゃんといいます。
この記事では、【歩行器の屋内用と屋外用の違い】と【兼用をおすすめしない理由】、【歩行器の選び方】についてご紹介します。
「家の中用と外用の歩行器、1台で兼用して済ませたいけれど危ないのかな?」
「種類が多すぎて、うちの親にはどれが合うのか分からない…」とお悩みではありませんか?
歩行器には用途に合わせて様々な種類があります。
安定性重視の屋外用を無理に家の中で使うと、横幅が広くドアを通れなかったり家具にぶつかったりして、かえって転倒リスクを高める恐れがあります。
・屋内用と屋外用の違い
・屋内用と屋外用の兼用をおすすめしない理由
・身体状況や生活環境に合わせた安全な選び方
屋内と屋外では求められる機能が異なるため、安全のために「用途に合わせて2台使い分ける」のがおすすめです。
それでは、歩行器の屋内用と屋外用違いや兼用をおすすめしない理由について、詳しく見ていきましょう。
2015年に福祉用具専門相談員の資格を取得。北海道を拠点に10年以上、現場での選定・適合に携わっています。
介護用品は「高機能=正解」ではありません。「使う人の身体や環境に合うか」を最重視しています。
当ブログでは、メリットだけでなく「こういう人には合わない」という注意点も発信しています。後悔しない用具選びをお手伝いします。
保有資格: 福祉用具専門相談員 / 福祉住環境コーディネーター2級
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屋内用と屋外用は機能が異なるため2台使い分けるのが基本
歩行器を選ぶ際、屋内と屋外で同じものを使おうと考える方も多いと思います。
しかし、歩行器は使う場所によって、求められる機能が異なるため、用途に合わせた2台の使い分けをおすすめしています。
それぞれの環境に最適な歩行器を選ぶことが、安全な生活を支える基本となります。
屋外用を室内で使うとドアを通過できない等生活動線の妨げに

屋外用の歩行器は、でこぼこした屋外の道でも安全に歩けるよう作られています。
そのため、タイヤが大きく、車体の横幅も広く設計されている機種が多いです。
安定感がある一方で、日本の住宅は廊下やドアの幅が狭いことが多く、屋外用ではスムーズな動きができない場合があります。
家の中での移動は、トイレや寝室など日々の生活に直結します。
生活動線が塞がれると、ご本人の活動意欲の低下にもつながりかねません。
家の中の移動には、ご本人の体型に合う、小回りが利く屋内専用の歩行器を選びましょう。
屋内用と屋外用歩行器の特徴┃3つの違い
歩行器は、使う環境に合わせて構造が異なります。
屋内用と屋外用における3つの違いについてご紹介します。
それぞれの特徴を正しく知ることが、安全で最適な歩行器選びにつながります。
1. タイヤ(キャスター)の大きさ
屋外用のタイヤ
1つ目の大きな違いは、タイヤ(キャスター)の大きさです。
屋外用の歩行器は、大きくて丈夫なタイヤを採用しているのが特徴です。
屋外では、砂利道やちょっとした段差や傾斜などの悪路が存在します。
大型のキャスターであれば、こうした障害物の衝撃にも対応できる仕様になっています。
でこぼこした道でも車体がブレにくく、体を預けて安定して進むことができます。
屋内用のタイヤ
一方で、屋内用の歩行器は小さなタイヤを採用しています。
家の中は平坦ですが、廊下の曲がり角や家具の隙間など狭いスペースが多くあります。
小さなキャスターはとても小回りが利き、狭い場所での方向転換が得意です。
タイヤの大きさは、外の悪路と室内の小回りのどちらを重視するかで異なります。
2. 本体フレームの横幅と安定性のバランス
屋外用のフレーム
2つ目の違いは、本体フレームの横幅と安定性です。
屋外用の歩行器は、車体の幅が広く、頑丈に作られています。
屋外のでこぼこ道や傾斜で転倒しないよう、横幅を広くして重心を安定させることで、しっかりと体を支えるように、安定性が高い設計されています。
屋内用のフレーム
一方、屋内用の歩行器は、屋外用に比べてスリムに作られているモデルが多いです。
家の中は外に比べて狭く、家具と家具の間など通るスペースが限られています。
スリムな車体であれば、こうした狭い隙間もスムーズな移動が可能です。
3. 外出をサポートする「座面」と「カゴ」の有無
屋外用の歩行器には、座面やカゴが付いている製品が豊富にあります。
外へ出かけると、スーパーでの買い物や散歩など、歩く距離が自然と長くなります。
途中で疲れを感じたとき、いつでも座って休憩できる座面があると安心です。
また、買った荷物を収納できるカゴも、安全に歩くための大きな助けになります。
長時間の外出を快適にサポートする装備が、屋外用にはしっかりと備わっています。
【前輪】┃ダブルキャスター・シングルキャスターの違い
歩行器の前輪(キャスター)には、「ダブル」と「シングル」の2種類があります。
それぞれの特徴を理解して、外出時の環境に合ったものを選びましょう。
側溝の溝に対応し、屋外歩行が安定する「ダブルキャスター」
外出先での歩行器使用時に注意したいことの1つとして、『タイヤが溝にはまって動けなくなる』ことがあります。
ダブルキャスターは幅が広いため、線路の隙間や側溝の溝に落ちにくい設計です。
そのため、タイヤがはまって前につのめるような、転倒のリスクを大きく減らすことができます。
外出先の動線に溝があるような場合には、ダブルキャスターの歩行器を検討するのも選定のポイントとなります。
また、タイヤが2つあることで地面に接する面積が広がり、走行時の安定性が高まります。
デコボコした道や点字ブロックの上を通っても、車体が左右に揺れにくくなります。
足元が不安定な場所でも、しっかりと体を預けて歩くことに役立ちます。
さらに、多くのダブルキャスターにはタイヤの回転を制限する「角度抑制機能」がついています。
前輪の向きを固定したり、動く範囲を狭めたりして直進性を高められます。
歩行時にふらつきやすい方でも、まっすぐ安全に進みやすくなります。
「シングルキャスター」は方向転換しやすい
前輪が1つの「シングルキャスター」は、操作性がよく、方向転換のしやすさが魅力です。
「ダブルキャスター」に比べて動きがなめらかで、スムーズに向きを変えられるため、思い通りに操作しやすいのが特徴です。
利用環境に合わせた歩行器選びのポイントは「機能性」
歩行器を選ぶ際は、走行性能の他に、使う場所に応じた「機能」を確認することも重要です。
ご本人が毎日どこでどのように使うかによって、求められる「機能」が異なります。
屋内用選びのポイントは「コンパクトさ」と「機能性」
小回りの利くコンパクトなモデルを選ぶ
家の中で使う歩行器は、幅が狭く小回りの利くものが選定されることが多いです。
住宅の廊下やトイレのドアは幅が狭く、スムーズに移動できるコンパクトな歩行器なら、生活動線を塞ぐ心配がありません。
家の中でご自身の意思で自由に行き来できることが、ご本人の自信にもつながります。
お盆(トレイ)付きモデルを選べば、自立度が向上する
家の中での生活をさらに助ける機能として、お盆(トレイ)付きのモデルがあります。
お茶や食事を運ぶ際、両手がふさがると移動が難しくなるものです。
お盆に乗せて運べば、ご本人の力だけで移動と運搬が完結します。
自分でできることが増えるため、生活の中での自立度が高まります。
屋外用選びのポイントは「座りやすさ」「収納性」「荷物の運びやすさ」
腰掛けられる座面付きモデルを選ぶ
屋外で歩行器を使用する場合、外出先での休息は欠かせません。
散歩の途中で疲れを感じたとき、すぐ座れる座面があると安心です。
座面はクッション性や高さが十分かを確認してください。
特に座面の高さは見落としがちなポイントです。
座面高がご本人の体型と合わなければ、安全に座って休息をとることができなくなります。
座面を活用し、休憩ができることで、無理なく屋外の移動や散歩を楽しむことができます。
簡単に折りたためる収納性の高いモデルを選ぶ
外からの帰宅時や車で出かける際、歩行器を折りたたむ機会は多くあります。
玄関で保管するとき、かさばらずに置けることは大切です。
特に、ご自身が収納する場合、簡単に折りたたむことができることは、とても重要です。
また、車に積み込んで移動する場合も、操作が簡単であれば介助者の負担になりません。
普段の保管場所や移動手段に合わせた収納性があるかを確認しましょう。
荷物を安全に運べるカゴやバッグ装備されたモデルを選ぶ
屋外に出る目的が買い物である場合、荷物の運搬も重要なポイントです。
手荷物を持つとバランスが崩れやすく、転倒の危険が高まります。
大容量のカゴやバッグが本体に装備されていると、荷物を運ぶ際の安定性が高まります。
両手をハンドルに置いたまま歩けるので、安全に買い物を楽しめます。
下り坂の安全確保する抑速ブレーキ付きの選び方
歩行器を選ぶ際は、ご本人の体の状態だけでなく、普段移動する場所の環境を確かめることが大切です。
坂道があるか、段差はどの程度かなど、使う経路によって必要な機能が変わるからです。
安全な生活を守るために、使う場所に合わせたモデルを選びましょう。
坂道や下り坂の多い経路には転倒を防ぐ「抑速ブレーキ付き」を選ぶ
下り坂で急に進んでしまうのを防ぐため、抑速ブレーキモデルを選ぶ
屋外の移動で最も気をつけるべきことの1つとして、下り坂での転倒事故があります。
下り坂では重力によって歩行器が前に進みやすくなり、ご本人の足取りよりも速く動いてしまうことがあります。
抑速ブレーキが搭載された歩行器は、タイヤの回転を適度に抑えてくれるため、歩行器だけが勝手に先へ進むのを防げます。
下り坂でもご本人のペースを保ちながら安定して歩くことに役立ちます。
歩行状態に合わせて「持ち上げ型」や「馬蹄型」を選ぶ
これまでの歩行器は、歩行器の中でも歩行者と言われるジャンルについてご紹介してきました。
歩行器には、歩行状態や姿勢に合わせて、さらに様々な種類があります。
ご本人の歩く力や、日頃の姿勢に合わせて最適な種類を選びましょう。
ここでは、リハビリでよく用いられる「持ち上げ型」や前腕で支える「馬蹄型」についてご紹介します。
四脚の「持ち上げ型(固定型・交互型)」を選ぶ
四脚の持ち上げ型は、歩行器を自分で持ち上げて前に出すタイプです。
歩行器が固定されているため、安定感が高く体重をしっかりと支えられます。
一歩ずつ足を前に出す訓練を行いたい方や、立ち上がりが不安定な方の補助に適しています。
上半身を預けられる「馬蹄型」を選ぶ
体幹が不安定な方や円背(猫背)の方は、上半身が前かがみになりやすく、歩行が不安定な場合が多く見られます。
馬蹄型(前腕支持型)は、肘から下を台に乗せて体を支える構造です。
上半身の重みを歩行器に預けられるため、楽な姿勢で歩くことができます。
腕全体で体重を支えられるため安定して移動可能です。
歩行器は、選ぶタイプを間違えると、ご本人にとって負担になることがあります。
例えば、腕の筋力が十分でない方に固定型を使うと、バランスを崩す危険があります。
体の機能と合わない歩行器は姿勢を崩す原因となり、転倒を招きかねません。
福祉用具専門相談員などと相談し、身体機能に合ったものを選定しましょう。
歩行器を安全に使用する環境整備┃段差がある場合
最後に、歩行器を安全に利用するために必要な視点として、住環境整備についてご紹介します。
家の中には、敷居や床の小さな段差が点在しています。
歩行器の車輪が段差に引っかかると、つまずいて転倒する恐れがあります。
段差を乗り越えやすい構造の歩行器を選ぶか、あらかじめ段差スロープを設置の検討をしましょう。
スロープを設置することで移動の安全性を高める
歩行器の機能だけで対応できない段差は、段差スロープで調整するのが有効です。
廊下と部屋のわずかな高さや、入り口の敷居などにスロープを置くことで、車輪がスムーズに通過できます。
環境を整えることで、歩行器の移動がより安定します。
ただし、高い段差にスロープを掛けると、坂道が長くなったり、傾斜勾配がきつくなって、かえって危険な場合があるので、注意しましょう。
住宅リフォームで、ドアの敷居を撤去するなどの対応をすることも検討
段差の根本的な解決をしたい場合はリフォームも選択肢です。
ドアの敷居を撤去して床を平らにすれば、歩行器の移動が最も安全になります。
生活の変化に合わせて住宅環境を見直すことは、ご本人の自立した生活を長く支えることにつながります。
まとめ
【歩行器の屋内用と屋外用違い】と【歩行器選び】についてご紹介させていただきました。
- 屋内用を選ぶポイント: 廊下やドアの幅に合わせて、小回りの利くスリムなモデル
- 屋外用選ぶポイント: 悪路に強く、休憩用の座面や荷物カゴ付きのモデル
- 身体機能による注意点: 身体状況や移動経路(坂道など)に合わせて、ブレーキ性能や支持タイプを合わせる。
- 歩行器を使う上で、環境整備の視点も大切
大切なご家族の安全を守るためには、環境と身体の両面に合う屋内用と屋外用として2台を使い分けることがおすすめです。
ご本人に最適な一台を一緒に見つけ、安心な生活を支えましょう。
本記事がお役に立てていただけますと幸いです。
2015年に福祉用具専門相談員の資格を取得。北海道を拠点に10年以上、現場での選定・適合に携わっています。
介護用品は「高機能=正解」ではありません。「使う人の身体や環境に合うか」を最重視しています。
当ブログでは、メリットだけでなく「こういう人には合わない」という注意点も発信しています。後悔しない用具選びをお手伝いします。
保有資格: 福祉用具専門相談員 / 福祉住環境コーディネーター2級
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