はじめに
車椅子クッションは、車椅子を利用する上で、“姿勢保持”、“安楽な立ち座り”、“快適な座り心地”、“褥瘡の予防(除圧効果)”、等の利用者の悩みを補完する福祉用具です。
車椅子クッションには、様々な材質や形状がありますので、ニーズに合った製品選びと、使用する車椅子とマッチしたサイズ選びが重要です。
本ページでは、車椅子クッション選定時の注意点と材質別に車椅子クッションのおすすめ製品をご紹介します。
車椅子クッションで期待できる効果
●姿勢保持
●安楽な立ち座り
●快適な座り心地
●褥瘡の予防(除圧効果)
車椅子用クッションの選び方
車椅子用クッションの選び方①~サイズ~
体型と使用する車椅子に合ったサイズを選びましょう。
車椅子クッションのサイズが合わなければ、座り心地はもちろんのこと、姿勢保持や車椅子からの立ち座りにも支障をきたし、最悪な場合、褥瘡の原因になることもあります。
車椅子クッションは、利用者の体型と使用する車椅子にに合う“高さ(厚さ)”、”幅”、”奥行”のサイズを選びましょう。
クッション高(厚さ)の選び方
車椅子の座高は、“車椅子の座高+クッション高”になるため、その分
車椅子の座高は適正な高さにしないと、立ち座りし難かったり、姿勢の悪化につながります。
クッション幅、奥行の選び方
使用する車椅子とクッションの幅や奥行が合わないと座り心地や姿勢に影響します。
車椅子とクッションの幅と奥行は、同じになるように、使用する車椅子とクッションの寸法をよく確認しておきましょう。
車椅子クッションの選び方②~材質~
車椅子クッションの材質は、主にウレタン素材、ラテックス素材、ジェル(ゲル)素材、空気圧構造(エアー)の4種類です。
材質によって、”除圧性能”、”姿勢保持”、’立ち座りのしやすさ”、”座り心地”等の特徴が異なります。
ウレタン素材
ウレタン素材は、最も一般的で、安価に手に入ります。ウレタン素材の中には、体圧分散に優れる低反発素材や安定性に優れる硬質素材など用途に応じて様々な材質があり、比較的軽量なので、扱いやすいです。
ジェル(ゲル)素材
ジェル(ゲル)素材は、衝撃吸収性が高く、ずれや摩擦に強いです。また、耐久性にも優れています。失禁や食事をこぼした際、ウレタンのように染み込まないので、洗って、清潔に保つことができます。
空気圧構造(エアー)素材
クッション内部で空気が移動することにより、高い耐圧分散効果を生み出します。褥瘡リスクのある方に使用されていることが多いです。適切な空気圧にしないと底づき等が発生してしまいますので、製品によっては、定期的な空気圧管理が必要です。
車椅子クッションの選び方③~硬さや形状~
【材質別】車椅子クッションおすすめ13選
ウレタン素材
日進医療器 ┃ MuAtsuクッション NX2
ムアツの褥瘡予防のテクノロジーを応用し、折りたたみ機能を付加した新開発のクッション。
体圧を分散し、血流を妨げにくく長時間の利用でも快適にご使用いただけます。
無膜ウレタンを使用し、通気性に優れており、ムレにくい構造です。
後方のアーチ形状が座奥までしっかりと支持し、様々な車いすに対応しています。
タカノ ┃ タカノクッションMOLA
アウターカバー、インナーカバー、ラテックス層、モールドウレタン層の4層構造になっている車いす用クッションです。
坐骨部の厚みが5cmで、体圧分散性と座位保持性が高い”コンタータイプ”と坐骨部の厚みが5.5cmで汎用性が高くしっかり座れる”フラットタイプ”の2タイプをラインナップ。
クッションサイズは、座幅380mm、400mm、430mmとなっていますので、車いすに合った幅を選びましょう。
仙骨座り等が原因で、坐骨や尾骨に負担がかかっている方、座っている時に姿勢が崩れやすい方におすすめのクッションです。
耐久性の高いモールドウレタンを使用し、インナーカバーが防水で、汚染に対応しているので、長く使えそうなクッションです。
タカノ ┃ タカノクッションR
特殊ウレタンフォームの多層多面構造により体圧分散性が高く、仕様ニーズに応じて様々な形状のバリエーションがある製品です。
ケープ ┃ マイクッション
2層構造のウレタンフォームが体圧分散と安定保持を両立させます。また、バックアップ構造により、スリングシートのたわみを吸収します。
ラテックス素材
グローバル産業 ┃ Motenasu 京おざぶ(和)
和柄の落ち着いたデザインの100%天然ラテックス素材クッションです。柔らかく弾力性があり、暑い季節でもムレなく使用できます。
ジェル(ゲル)素材
加地 ┃ アウルリハシリーズ
ジェルとウレタンのハイブリット構造で、体圧分散と安定性を両立させたクッションです。
アウルリハシリーズの坐骨部分に使用している、エクスジェルは、”弾力性”、”柔軟性”、”流動性”に優れ、座る時に坐骨部分に起きる”衝撃”、”圧力”、”ズレ”の問題を解決します。これにより長時間の座位保持をサポートします。
また、仙骨が当たりにくいようにスリットが入っているのが特徴です。このスリットにより仙骨部の床ずれリスクを軽減することにつながります。
体型や状態に合わせて、クッションの厚さ、形状にバリエーションがあります。クッションの厚さは、床ずれリスクや体型に合わせて、厚み4cmのレギュラータイプ、厚み6cmのミドルタイプ、厚み8cmのハイタイプの3種類。形状は、座位保持の度合いによって、フラット形状と3D形状の2種類があります。
3D形状は前ずれ防止や体幹保持の必要がある方におすすめです。
日本ジェル ┃ ピタシートクッションシリーズ
ジェル素材の格子状クッションにより、”高い体圧分散”、”ムレ防止”、”高い耐久性”があるので、快適に使用することができます。また、利用者に応じて厚さを3種類(35mm、55mm、70mm)の中から選ぶことができます。中身のジェル部分は水洗することができるので、清潔に保てます。
ピタシートクッションは、カバーの材質や形状によりいくつかバリエーションが用意されています。
アクションジャパン ┃ アクションパッド
ベーシックタイプはわずか2.5cmの厚さで、やわらかいのに底づきせず、高い体圧分散があるクッションです。ジェルがフィルムで包まれているので、失禁などがあっても手入れしやすい製品です。
ケープ ┃ デュオジェルクッション
大腿部のシリコンジェル、後側の流動ジェルとウレタンフォームにより、体圧分散と安定性を両立させたクッションです。左右の大腿部の裏側で体重を受けるU字構造により、坐骨結節に集中する圧力を分散します。
タイカ ┃ アルファプラクッション
床ずれ防止用マットレスで評価の高いアルファプラ素材を使用したクッションです。
3層のゲルサンド構造により、体圧分散性と安定性があり、前ずれを防ぐ構造のクッションです。
空気圧構造(エアー)素材
アビリティーズ・ケアネット ┃ ロホクッション
独立したエアセルが臀部を優しく包み、優れた体圧分散により褥瘡予防に定評のあるクッションです。
エアセルの高さはロー(5cm)、ミドル(8.3cm)、ハイ(10cm)の3種類があり、床ずれリスクに応じて選択が可能です。
体幹保持が難しい方には、クァドトロセレクトがおすすめです。
定期的な空気圧調整が必要なので、使用するには自己管理もしくは、管理できる環境でしようするようにしましょう。
モルテン ┃ パワークッション
充電式のバッテリー駆動により、エアセルの硬さ調整や除圧を行うクッションです。
座った状態で圧切り替えを行う秀逸した機能も備えた製品です。
空気調整を自動で行うので、ポンプやバルブから空気圧を調整することが難しい方におすすめです。
バッテリー駆動のため、充電の必要があります。
連続約50時間(クッション上での動きが少ない場合)
連続約15時間(クッション上での動きが多い場合)
ユーキ・トレーディング ┃ バリライト ストレータス
ストレータスは、エアーとウレタンのハイブリッド構造になっており、除圧と安定性を兼ね備えたクッションです。
バルブから圧力調整ができ、体型や座り心地に合わせて最適除圧、快適座位に調整が可能です。
ユーキ・トレーディング ┃ バリライト メリディアン
メリディアンは、エアーとウレタンのハイブリッド構造で、前後で独立した空気室により、バリライトシリーズの中で高い除圧性と前ずれしにくい製品です。
床ずれリスクが高く、前ずれの心配がある方におすすめです。
ミキ ┃ エアールクッション
バルブから空気圧調整が可能なクッションです。ストレータスと同じ仕組みですが、本製品のほうが安価です。クッションの厚さが35mmと80mmの2種類があります。
洗えるクッション
タカノ ┃ タカノにこにこクッション
ポリエステル素材で、カバーごと丸洗いできるクッションです。失禁の多い方など汚しやすい環境で使用される場合におすすめです。
まとめ
今回は、2024年最新の車椅子クッションのおすすめ製品と選定時の注意点について、ご紹介しました。
材質によって、メリット・デメリットがありますので、最近の製品はデメリットを補完するためにジェル+ウレタン、空気圧+ウレタン等のハイブリッド構造の製品が主流かと思います。その方が、除圧と安定性、耐久性のバランスも良いので、私的にはおすすめです。
車椅子クッションは、車椅子での悩みを補完するものでもあるので、使用する車椅子が適したものでない場合もありますので、選定時には、車椅子自体に問題点がないか確認してみましょう。
また、良い製品が発売されましたら、ご紹介させて頂きたいと思います。
福祉用具専門相談員9年目。日々の業務での福祉用具に関する知識や様々な情報を発信します。ツイッターも見て頂けると嬉しいです。
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