はじめに
補高便座とは、トイレの洋式便座を立ち座りしやすい高さに調整したり、和式便座を便器を取り替えずに腰掛け式へ変更する福祉用具のことです。
築年数の古い住宅などでは、便座の高さが低い住宅が多いです。
ご高齢の方には、低い便座からの立ち座りは、身体的に大変負担が掛かります。
補高便座は、立ち座りしやすい適正な高さに補正することで安楽な動作つなげる手段として利用されている福祉用具です。
補高便座には、設置環境に応じて様々な製品がありますので、本記事では、種類ごとにおすすめの製品をご紹介させて頂きます。
補高便座の種類について
補高便座を以下の種類に分けてご紹介します。
●洋式便座の上に置く補高便座
●既存便座と便器の間に設置するタイプの補高便座
●昇降機能付き便座
洋式便座の上に置く補高便座
便座の上に置くタイプは、工事が不要なので、導入しやすく、安価に購入することができます。
フタ付とフタなしのタイプがありますが、フタなしのタイプは、補高便座を便座の上に設置するので、便器のフタを閉められないデメリットがあります。
座面の材質は硬質タイプとやわらか素材タイプがあります。
洋式便座の上に置く補高便座のメリット
○設置工事不要
○比較的安価
洋式便座の上に置く補高便座のデメリット
✕フタなしタイプは、フタを閉めることができない
✕固定具がないタイプで、便座穴にピッタリ合わない場合は、座った時にずれる
✕暖房便座が使えない
✕ウォシュレット、シャワートイレが使用できない場合がある
便座と便器の間に設置する補高便座
便座と便器の間に設置して高さを補正するタイプは、便座を変更することなく、見た目もスマートに使用できるので、おすすめのタイプです。
ウォシュレット付や暖房付補高便座に変更する場合もこちらのタイプになります。
デメリットとしては、既存便器によっては取付ができない場合があることや、設置には便座の取り外しが必要なので、容易に設置できないことです。
また、ウォシュレットを新規で設置する場合は水道工事が必要になります。設置の可否については、事前に確認が必要です。
便座と便器の間に設置する補高便座メリット
○既存の便器をそのまま利用できる
○見た目がスマート
○便器に固定されているので、ズレる心配がない
○暖房便座、ウォシュレットが使用できる
便座と便器の間に設置する補高便座デメリット
✕便器やタンクの形状によっては取り付けできない場合がある
✕容易に設置ができない
昇降機能付き便座
電動により座面が昇降することで、立ち座りを支援する補高便座です。
無段階昇降するので、好みの高さにその場で変更することができます。また、前方に傾斜する機能もあるので、立ち上がりをよりサポートします。
介助時に着座時を高い位置に設定しておくと、介助者の負担軽減にもつながります。
メリット
○座面が無段階昇降(垂直・斜め)するので、好みの高さで立ち上がりができる
○トイレ介助で着座する時に、介助者の負担軽減につながる
デメリット
✕導入コストが高い
タイプ別補高便座おすすめ製品
洋式便座の上に置く補高便座おすすめ製品
パナソニック ┃ 補高便座やわらか
ウレタンフォームでソフトな座り心地です。立ち座りしやすく排便を促進する前傾形状で、お尻の小さな方でも落ち込みの少ない小口径形状設計です。3cm補高(#3)と6cm補高(#6)の2サイズとなっています。
材質
ウレタンフォーム
カラー
ベージュ
サイズ
TOTO ┃ やわらか補高便座(EWC400R、EWC401R)
クッション性が高く、座り心地が良い便座です。
補高は3cmで、ご使用の便座穴サイズに合わせて大形サイズ(EWC401R/エロンゲートサイズ)と普通サイズ(EWC400R/レギュラーサイズ)の選択が可能なので、座った時のズレが少なく設置ができます。
材質
発泡ウレタン
カラー
ハーベストブラウン
サイズ
竹虎 ┃ フタ付き補高便座(ソフトタイプ)
フタ(蓋)を閉めて使いたい方におすすめの製品です。補高の高さは11cmとなっています。
表面はお手入れしやすいPVコーティングで、内側は、高密度ポリウレタンフォームで成型された、やわらかで座り心地のよい座面になっています。
材質
本体:高密度ポリウレタン(PVCコーティング)、フタ:ポリプロピレン
サイズ
アロン化成 ┃ 安寿 補高便座
7cm(#7)と10cm(#10)補高の2タイプがあり、固定具付きなので、グラつきなく設置する補高便座です。
材質
本体:ポリエチレン、スプラッシュガード・固定具:ポリプロピレン
サイズ
アロン化成 ┃ 安寿 ソフト補高便座
3cm(#3)と5cm(#5)の高さから選べる補高便座です。通常便座だけでなくポータブルトイレにも使用できる製品です。
カラー
ライトグリーン
材質
ポリウレタン
サイズ
便座と便器の間に設置する補高便座おすすめ製品
TOTO ┃ 補高便座(EWC440R、EWC441S、EWC450R、EWC451S)
既存で使用している便座と便器の間にスペーサー的に設置して使用する補高便座です。補高の高さと便器の大きさに合わせて4サイズ用意されています。
便器やタンクの形状によって、取り付けられない場合もありますので、設置前に確認するようにしましょう。
カラー
パステルアイボリー
材質
ポリプロピレン
サイズ
型番 | 補高 | 便器サイズ |
EWC440R | 50mm | レギュラー(普通) |
EWC441S | 50mm | エロンゲート(大形) |
EWC450R | 30mm | レギュラー(普通) |
EWC451S | 30mm | エロンゲート(大形) |
設置には、条件がありますので、下記URLよりQ&Aをご参照下さい。
ウォシュレットも同時に設置する場合は、同一メーカーの方が相性が良いので、下記のウォシュレット付補高便座を選択すると良いと思います。
リモコンタイプは操作が楽に行えるので、高齢者の方には特におすすめです。
LIXIL(リクシル) ┃ シャワートイレ付 補高便座(大型/標準サイズ共用)
LIXIL(リクシル)から販売されているシャワートイレ(ウォシュレット)付補高便座です。高さは30mmと50mmを選択することができます。大型/標準便器共用となっており、補高便座側の穴の位置を変えて設置する仕様です。
TOTOの製品と同様に補高便座のみの販売もしています。設置条件を確認の上、既存便器のメーカーに合わせた方が相性が良いと思います。
サイズについては、下記をご参照下さい。
さつき ┃ ZA FREE(STK-B200W/STK-B400W)
座面前部が広々しており、ゆったり深く腰掛けられる奥行きのある便座です。便座と一緒に3cm補高便座を合わせて設置することができます。
前部の広いスペースによって、排泄介助のしやすさやオスメイトの方にも排泄物の跳ね返りが少なく使用することができます。
サイズ
詳細は下記リンクの図面をご参照下さい。
昇降機能付き便座おすすめ製品
TOTO ┃ トイレリフト(EWC151)
便座が電動で垂直・斜めに昇降し、立ち上がりをサポートします。
跳ね上げ式の手摺が付属しているので、着座、立ち上がり時に役立ちます。
昇降機能を利用して、介助時の負担軽減にもつながります。
まとめ
各製品を種類別にまとめました。
福祉用具専門相談員9年目。日々の業務での福祉用具に関する知識や様々な情報を発信します。ツイッターも見て頂けると嬉しいです。
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