はじめに
今回は、フランスベッドから発売されている”自動寝返り支援”ですが、その導入メリット、デメリットについて製品の特長や仕様を紹介しながら、考えていきたいと思います。
フランスベッド”自動寝返り支援ベッド”の特長と仕様
メーカー名と製品名
メーカー:フランスベッド
製品名:自動寝返り支援ベッド fbn-640
自動寝返り支援ベッドの特長(ポイント)
フランスベッド”自動寝返り支援ベッド”の特長は、以下となります。
1.身体を動かすことが困難な方の寝返りを支援し、腰痛などの看護・介護職員様の身体的負担を軽減
2.角度や時間、速度などを細かく設定可能な自動運転の寝返りサポート機能(タイマー設定可)
3.背上げ・足上げ・高さ調節が可能
4.ヘッドボードとフットボードは脱着可能
5.キャスターはワンステップでロックと介助が可能
(フランスベッドより抜粋)
身体を動かすことが困難な方の寝返りを支援し、腰痛などの看護・介護職員様の身体的負担を軽減
一般的に介護、看護での褥瘡のケアは、体位変換を2時間の間隔で行なうことが必要とされています。
在宅、施設に限らず、定期的な体位変換は、大変な身体的負担になります。
フランスベッドの”自動寝返り支援ベッド”は24時間自動で寝返りを支援するので、介護の負担軽減につながる製品です。
角度や時間、速度などを細かく設定可能な自動運転の寝返りサポート機能(タイマー設定可)
フランスベッドの”自動寝返り支援ベッド”は、手元スイッチと液晶付きの設定コントローラーにより、寝返りの角度や時間、速度などを細かく設定することができます。
また、ボトムを傾ける機能(寝返り)を生かして、自動運転中に経管栄養を行う場合などの場面でも介護の支援に繋がります。
例:自動運転中に経管栄養を行う場合
1.利用者の体の位置、ベッド周辺の安全を確認し、自動運転を停止する。
↓
2.手動運転モードに切替える
↓
3.ベッドを水平にする
↓
4.背ボトム(背上げ)を15°まで上げる
↓
5.ボトム(寝返り)を右に5°傾斜させる
↓
6.経管栄養を行う
↓
7.経管栄養が終了してから約30分後にベッドを水平にする
↓
8.背上げ、脚上げの角度を元に戻す
↓
9.自動安全モードに切り替える(自動運転を開始させる)
(※操作方法は省略しています)
以上のように、状況に応じて、自動運転中に介助が必要になった場合でも、細かな設定により、介護の負担をサポートします。
背上げ・足上げ・高さ調節が可能
通常の3モーターの介護ベッドと同様に、”背上げ”、”脚上げ”、”高さ調節”が可能です。
上記の3モーター介護ベッドの機能に加えて、ボトムを傾けること(寝返り)ができるので、言わば、4モーター仕様です。
寝返り動作は、水平時はもちろんのこと、背上げ、脚上げしながら、ボトムを傾斜させる(背上げ+脚上げ+寝返り)動作が可能です。
背上げ角度を0~30°、脚上げ角度を0~24°まで制限した上で、寝返り角度を左右に0~5°まで傾斜させることが可能です。
ヘッドボードとフットボードは脱着可能
マットレスや布団のずれ、転落を防止するベッドの頭側と脚側にあるヘッドボードとフットボードですが、ベッド上での介助が容易になるように、ボードが取り外し可能となっています。
基本的にはどの他製品も取り外しが可能なので、特段、特別な機能というわけではないです。
キャスターはワンステップでロックと介助が可能(※キャスター脚のみ)
自動寝返り支援ベッドのキャスターは、ベッドの足側中央にワンステップでロックと介助が可能なレバーがあるので、移動と固定が容易に行うことができます。
自動寝返り支援ベッドには固定脚タイプとキャスター脚タイプ2種類の仕様があります。
在宅でベッドを移動することが特段なければ、コスト的に固定脚タイプがおすすめです。
税法上、固定脚の介護ベッドは非課税、キャスター脚の介護ベッドは課税になります。
自動寝返り支援ベッドの固定脚タイプは、680,000円(非課税)
キャスター脚タイプは、756,000円(税込)となります。
上記はメーカー希望価格となりますので、販売価格は以下よりご確認お願いします。
病院や施設などでは、ベッドを移動することが多いと思いますので、キャスター脚タイプがおすすめです。固定脚でもベッドを持ち上げて移動することは不可能ではないですが、慣れている男性2名以上でないと、腰痛の原因になるかと思います。
フランスベッド”自動寝返り支援ベッド”の仕様
サイズ・重量
サイズ:(幅×長さ×床板高さ)950mm×2,111mm×320~665mm
重量:105kg~113kg
キャスター:双輪φ100mm 取付高さ115mm(※キャスター脚タイプのみ)
固定足:取付高さ115mm(※固定脚タイプのみ)
対応マットレスの厚さ、重量:最低厚さ/30mm、最大厚さ/190mm、重量/20kg以下
使用者制限体重:135kg
動作速度・動作角度
手動運転の動作速度(全ストローク時)
背上げ:1速(約42秒)、2速(約22秒)
高さ(昇降):1速(約63秒)、2速(約43秒)
寝返り(水平~最大角度):1速(約80秒)、2速(約42秒)、3速(約22秒)
背上げ角度:0~72°
高さ(昇降):32~66cm
寝返り角度:左右0~25°
自動運転の設定項目
運転時間:10分~24時間
運転パターン:標準(設定固定)またはオリジナル
オリジナルの設定内容
動作速度:1~3速
動作モード:左右両側、左のみ、右のみ
開始動作:左、右、水平のいずれか
左右寝返り動作角度:5~10°
左右寝返り停止時間/水平停止時間:2分~6時間
フランスベッド”自動寝返り支援ベッド”のオプション品(付属品)
適合サイドレール
サイドレール SR-100JJ
サイドレール SR-106JJ
サイドレール SR-300JJ
サイドレール SR-800JJ
サイドレール SR-W1JJ
サイドレール SR-351JJ
適合するベッド用グリップ(手すり)
ベッド用グリップ GR-510
適合マットレス
適合マットレス寸法
最大幅:850mm、最大長:1950mm、最低厚さ:30mm、最大厚さ:190mm
推奨マットレス
SF-Pro
インテグラメッド
UF-71
フランスベッド”自動寝返り支援ベッド”の導入メリット・デメリット
フランスベッド”自動寝返り支援ベッドを導入するにあたってのメリットデメリットを以下のようにまとめました。
フランスベッド”自動寝返り支援ベッド”の導入メリット
◎24時間自動寝返り支援機能で介助負担軽減
◎背上げしたままのボトムの角度調整、寝返りが可能
◎体交角度と速度を任意に設定できる。
◎エアマットの寝心地が合わない方は、通常マットレスを使用することができる。
◎24時間自動寝返り支援機能
24時間自動で体位変換が行われるので、介護の負担軽減につながる。
施設であれば、職員の負担軽減につながります。
◎背上げしたままのボトム(寝返り)の角度調整、寝返りが可能
背上げしたままボトム(寝返り)角度を調整することができるので、経管栄養を行う際やおむつ交換、シーツ交換時に役立ちます。
ベッドのボトムを20度まで傾けることができるので、ベッドを傾けて側臥位を保持することができます。傾けた状態で、おむつ交換やシーツ交換の介助がしやすくなり、介護負担の軽減につながります。
オスカー等の自動体位変換機能付きのエアマットでも同様の動作は可能ではありますが、エアマットよりもベッド上での介助動作がしやすいと思います。
◎体位変換の角度と速度を任意に設定できる
手元スイッチと設定コントローラーで、利用者さんの状態に応じて柔軟な体位変換の角度や速度を設定することができます。
◎自動体位変換可能ながらも、寝心地の良いマットレスを選べる
自動体交はオスカーなどのエアマットが使用される事が多いですが、自動寝返り支援ベッドは、ベッド自体が動くので、エアマットの寝心地が合わない方は、寝心地に合わせたマットレスを使用することができます。
自動寝返り支援ベッドのデメリット
✕ベッドの価格が高い
✕ベッド幅が大柄方には狭い
△高さ調節が垂直ではない
✕ベッドの価格が高い
自動寝返り支援ベッドの価格は固定脚タイプが680,000円(非課税)、キャスター脚タイプが756,000円(税込)となっています。
マットレスやサイドレールなどの付属品は別売りなので+αでコストが掛かります。
ベッドの機能が異なるので、比較にならない部分がありますが、パラマウントベッドの主力モデル 楽匠プラス 3モーションが250,000円前後で販売されているので、それを踏まえるとかなりの価格差があります。
別記事では、他社介護ベッド、エアマットの紹介もしていますので、よろしければ、御覧ください。
✕ベッド幅が大柄方には狭い
適合マットレス寸法が85cm幅なので、大柄方には狭いと思います。
他社製品の標準サイズが91cm幅ですので、やや小さめのベッド寸法です。
自動寝返り支援ベッドの選定時は、利用者さんの体型を考慮する必要もあると思います。
△高さ調節が垂直ではない
高さ調節時の昇降動作が垂直ではなく、前後に数センチ動く使用になっています。ベッド寸法よりも余裕がある場所に設置する必要があります。
まとめ
フランスベッド”自動寝返り支援ベッド”導入のメリット・デメリットを製品の特長、仕様などを交えながら紹介させて頂きました。
デメリットとしては、”ベッド本体価格が高いこと”、”大柄な方には狭い寸法”というところではないでしょうか。
しかしながら、ベッド自体が寝返り支援する機能面で他社で比較できる製品がなく、優れた製品であることは間違いないです。
24時間自動体位変換が必要な方、自動体位変換が必要だけど、エアマットの寝心地が合わず、マットレスを自分で選択したい方におすすめの製品です。
公式動画も参考にどうぞ
下記サイトでは、介護ベッド選びのポイントや注意点、導入時に使える公的制度をご紹介しています。
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