はじめに
福祉用具専門相談員のもっちゃんです。
福祉用具専門相談員の目線で、介護ベッド購入時のチェックポイントや
2025年最新介護ベッド厳選してご紹介します。
最新介護ベッドは価格帯別に、
「20万円以上の高機能な介護ベッド」、「20万円以下で購入可能な介護ベッド」
「10万円以下で購入可能な介護ベッド」に分けて掲載いたします。
介護ベッド購入時のチェックポイント
介護ベッド購入時に以下について確認しましょう。
※介護ベッドについて熟知している方は、読み飛ばして下さい。
- モータータイプを選ぶ
- サイズを選ぶ
- 昇降タイプで選ぶ
- 価格帯について
介護ベッドをモータータイプを選ぶ
電動介護ベッドのモーター数は、1~3モーターの製品が一般的に製造されています。
モーター数が増えるほど、ベッドの可動部分が増えます。
そのため、モーター数が多いほど、ご利用者さんがベッド上で安楽な姿勢保持ができたり、
ベッドからの起き上がりや立ち座りを支援することができます。
また、介護する側にとっても負担軽減が期待できます。
1モーター
1モーターの介護ベッドには、
「背もたれのみ動作するタイプ」と「ベッド自体の高さのみ昇降するタイプ」
の2種類があります。
背もたれのみ動作するタイプ
背もたれが電動で動かすことができるため、ベッド上での起き上がりを支援します。

ベッド高のみ昇降するタイプ
ベッドの高さを電動で動かすことができるため、ベッドからの立ち座りや移乗を支援します。

いずれのタイプも可動部分が限られているため、軽度者向けの介護ベッドになります。
2モーター
2モーターの介護ベッドは、
「背もたれ動作」と「ベッド高の昇降」が可能です。

1モーターの2タイプそれぞれの機能が両方できるイメージです。
ご利用者さんの状態に合わせて、
背もたれをベッド上での起き上がりしやすい角度調整にしたり、
ベッドからの立ち座りしやすいベッド高調整が可能です。
「背もたれ動作」と「ベッド高の昇降」の両方が可動できると、
「離床のしやすさ」や「介護者の負担軽減」が期待できます。
介護目的でベッドをご利用されるなら、2モーター以上のベッドがおすすめです。
3モーター
3モーターの介護ベッドは、
「背もたれ動作」と「ベッド高の昇降」に加えて、「脚上げ動作」が
それぞれ個別に動作できるようになります。

脚のむくみや床ずれの心配がある方には、背角度と脚部角度を調整することにより、
背上げ時に背圧を軽減したり、ベッド上で安楽な姿勢を保つことに繋がります。
介護度が高い方には、3モーターのベッドがおすすめです。
背上げ、脚上げ、高さ調整以外にも特殊な機能のあるベッドがある
電動介護ベッドには、背上げ、脚上げ、昇降に加えて、
個別の介護ニーズに応えられるような機能を有するベッドがあります。
例をあげると、以下のような介護ベッドがあります。
ベッド上で座位に近い姿勢で起き上がりができる「パラマウントベッド 楽匠プラス Hタイプ」

ハイバック機能で誤嚥リスクの低減をサポートする介護ベッド「プラッツ ヨカロ」

「Emi(エミ) 3M 木製スタンダード 90幅 シーホネンス」

ご利用者さんの悩みに合わせて、
ベッドを選定することで、介護負担を減らすことが期待できます。
介護ベッドのサイズ選び
介護ベッドのサイズには、ベッド幅(マットレス幅)とベッド長があります。
ご利用者さんの体格や設置場所の大きさに合わせたサイズ選びが大切です。
ベッド幅(マットレス幅)の種類
介護ベッドの幅は、マットレス幅で表記されています。
ベッド全体の幅ではないので、ご注意ください。
介護ベッドの幅に合わせて、同じ幅のマットレスも合わせて用意する必要がありますので、
介護ベッドの幅選びはとても重要です。
在宅では、91㎝幅(メーカーによって90㎝幅)が主流です。
その他に83㎝のマットレス幅が各メーカーで多く製造されています。
一部メーカーでは、100㎝幅の介護ベッドもあります。
91㎝幅の介護ベッド
91㎝幅は、シングルベッドサイズに近いサイズで、在宅介護で多く使われています。
介護ベッドの標準的なサイズなので、マットレスも各メーカーが91㎝幅に合わせて製造しています。
ご利用者さんの体格によりますが、ベッド上で寝返りをしたり、
ベッドからの立ち座りや車いすへの移乗する際にも介護し難さを感じない大きさです。
サイズ選びに迷ったら、91㎝幅を選ぶことをおすすめします。
83㎝幅の介護ベッド
83㎝幅の介護ベッドは、ご利用者さんと介護者の距離が近いので、
病院や介護施設で利用されていることが多いサイズです。
小柄な方や狭所でコンパクトサイズのベッドをお求めの方におすすめです。
100㎝幅の介護ベッド
100㎝幅の介護ベッドは、体格の大きな方におすすめのベッドです。
介護ベッドでは、一般的なサイズではないため、
メーカーによっては、マットレスのサイズが対応していない場合があります。
また、介護ベッドの非課税要件から外れるので、課税対象となります。
ベッド長の種類
介護ベッドの長さには、ショート・レギュラー・ロングがあります。
ご利用者さんの身長に合わないサイズを選んでしまうと、
正しい屈曲位置で背上げや膝上げを行うことができず、
ご利用者さんの負担が生じる場合があります。
介護ベッドの長さは、ご利用者さんの身長に応じて選びましょう。
現状では、ロングサイズの需要が少ないため、
ロングサイズの介護ベッドは、オプション部品が別途必要な場合があります。
介護ベッド長選びの目安
ショートサイズ:身長150㎝未満
レギュラーサイズ:身長175㎝未満
ロングサイズ:身長175㎝以上
介護ベッドの昇降タイプ
介護ベッドの昇降機能は、ベッドからの離床動作やおむつ交換など、
介助者の負担軽減に役立つ機能です。
介護ベッドには昇降方法が「スイング昇降」と「垂直昇降」の2通りがあります。
スイング昇降
スイング昇降は、比較的安価な介護ベッドに採用されている機構です。
パラマウントベッドのクオラONEを例に挙げますと、
高さ調整時、脚側に数センチ弧を描きながら昇降します。
スイング昇降の場合、介護ベッド設置時に、壁から10㎝程度離す必要がありますので、
狭所に介護ベッドを設置することを想定している方は、注意が必要です。
垂直昇降
垂直昇降の介護ベッドは、ベッド昇降時、文字通り垂直に昇降します。
壁に近い位置で設置することができるので、
狭所で介護ベッドの設置を想定している方におすすめです。
スイング昇降の介護ベッドに比べると、垂直昇降の介護ベッドの方が、価格が高いです。
垂直昇降は、ハイエンド機種に採用されている機構ですが、
最近では、比較的安価な価格帯の製品にも採用されています。
介護ベッドの価格帯と費用
介護ベッドの販売価格
介護ベッドは、機能により価格帯が異なります。
1モーターは、製品によって、10万円以下で購入できます。
2モーターは、安価な製品で、15万円前後で購入できる製品もあります。
高機能タイプですと、25~30万円程度になります。
3モーターは、おおむね20~30万円の価格帯で販売されている製品が多いです。
安価な製品ですと、20万円以下で購入できる製品もあります。
特殊な機能があるベッドでは、100万円近い製品もあり、
求める機能によって、価格が大きく異なります。
介護ベッドのレンタル価格
介護ベッドのレンタルは、月額料金制になっています。
一般的な相場として、月額7,000円~12,000円の価格帯が多いです。
高機能な製品ですと、月額16,000円程度になる場合もあります。
安価な2モーターのベッドですと、1か月あたり6,000円程度でレンタル可能な製品もあります。
レンタル価格は、福祉用具の貸与事業所が個別に設定していますので、
安価にレンタルしたい方は、複数の貸与事業所に聞いてみるのも良いと思います。
また、レンタル価格には、地域差もあるようです。
都市部の方が安い傾向にあると思います。
介護保険制度をご利用して、レンタルされる場合は、
ご利用者さんの負担割合に応じて、月額レンタル料金の1~3割の価格でレンタル可能です。
ベッド本体以外に付属品の費用も必要
介護ベッドをご使用頂く上で、ご利用者さんの状態に応じて、
付属品(オプション品)が必要になります。
介護ベッドの上に布団を敷く最低限、介護ベッド用マットレスは必須です。
一般的なマットレスの販売価格は、30,000円~70,000円。
床ずれ防止用は、100,000円程度になります。
その他、サイドレール(ベッド柵)や介助バーと呼ばれるベッド用手すりを付属する
ケースが多いです。
2025年最新 介護ベッドおすすめ製品 (20万円以上の高機能タイプ)
パラマウントベッド ┃ 楽匠プラス(Hタイプ)スリムボード

楽匠プラス(Hタイプ)は、パラマウントベッドのハイエンドモデルで、機能・デザイン共に秀逸な製品です。
プラスラインボトムにより、身体にやさしい背上げを行います。

ラクリアモーションにより、ベッド自体が傾斜する機能があります。
これにより、ベッドから足が降ろしやすくなるため、離床の支援に繋がります。
ベッド上では、座っている姿勢に近いので、ベッド上で食事を摂る際に、誤嚥のリスクを減らすことも期待できます。
足元側が下がるので、ベッド上からテレビを見たい方にもおすすめです。

ベッドを操作するリモコンは、液晶付きで見やすく、操作しやすい仕様です。
専用アプリをインストールすれば、お手持ちのスマートフォンで操作することも可能。
呼び出し機能もあり、ご利用者さんからご自宅内のご家族のスマートフォンへ通知を送ることもできます。

デザイン面では、便利な多機能ボードやスリムボード(木製ボード)があり、好みによって選ぶことができます。
スリムボード(木製ボード)は、厚みの少ない仕様で、ベッドの全長がよりコンパクトになります。
木製でインテリア性が高いので、お部屋の雰囲気にも合わせやすいと思います。
高機能な介護ベッドが欲しいけど、見た目を重視する方に特におすすめです。
楽匠プラスには、HタイプとXタイプがありますが、
Xタイプには、ラクリアモーションがありませんので、ご注意下さい。

大柄な方には、マットレス幅が100㎝幅の楽匠ウイングもあります。
楽匠ウイングは、プラスラインボトムではありませんが、楽匠プラスHタイプに近い仕様になっています。
プラッツ ┃ ヨカロ

プラッツのヨカロは、背上げに加えて、頭の角度を調節可能なハイバックサポート機能が特長の介護ベッドです。
ハイバック機能を使用することで、頭部の角度を細かに調節することができるため、
誤嚥リスクの低減が期待できます。

ベッド高さを床面から78㎝の高さまで上げることができます。
介助者がおむつ交換などで中腰にならなくても介助することができるため、
介助者の腰痛予防に役立ちます。

サイドレール(ベッド柵)は、頭側・足元側に加えて、中央にも差すことができるので、
用途に合わせて使いやすい仕様になっています。

介護者が食事介助やおむつ交換、体位変換しやすい介護ベッドですので、
介護の負担軽減を重視している方に特におすすめの機種です。
パラマウントベッド インタイム1000

パラマウントベッドのインタイム1000は、
機構部が見えない仕様になっているので、インテリア性が高い介護ベッドです。
後付けで、オプションのベッド柵やベッド用手すりを追加することができるため、
将来を見据えてベッドの買い替えを検討している方にもおすすめです。
マットレス幅は、91㎝(セミシングル)、97㎝(シングル)、120㎝(セミダブル)の
3バリエーションがあり、幅広サイズをお求め場合にも対応しています。
また、セミシングルは非課税ですが、
シングルとセミダブルは、非課税要件から外れるため、課税となります。ご注意ください。

モータータイプは、背上げと膝上げができる「1+1モーター」、
背上げ、膝上げ、ベッド高調整の「3モーター」がありますが、
介護を見据えて導入されるのであれば、3モーターを選択された方が良いです。

2種類のボード形と4種類のカラーからデザインを選ぶことができるので、
ご自身の好みに合わせやすいのも特徴です。



より高機能なタイプをお求めの方には、楽匠プラス(Hタイプ)にも搭載されている、
「ラクリアモーション」付の「インタイム3000」もあります。

2025年最新 介護ベッドおすすめ製品 (20万円以下で購入可能な介護ベッド)
パラマウントベッド クオラONE

クオラONEは、パラマウントベッドが製造する介護ベッドです。
楽匠プラスのようなハイエンド機種ではありませんが、
介護ベッドメーカーだからできる、介護に役立つ機能を有するベッドです。
介護ベッドメーカーの製品では、最安の価格帯で販売されており、
コストパフォーマンスが高い製品です。
手元スイッチは、楽匠プラスと同じく、見やすい液晶がついており、
スマートフォンと連携すると、呼び出し機能やベッド操作に対応します。


背上げによる圧迫感・姿勢のずれを軽減する「ストレッチ背上げ」機能を搭載しています。

昇降動作がスイング昇降なので、垂直昇降にこだわりが無い方におすすめの機種です。

プラッツ ミオレットⅢ
ミオレットⅢは、介護ベッドメーカープラッツの在宅用介護ベッドです。

昇降タイプが垂直昇降で、20万円以下で購入できる高機能ベッドです。
移乗のしやすさや、背上げ時のズレ抑制機能も備わったいます。
パーツが軽量化されており、介護ベッドの中でも組み立てしやすい製品となっています。


2025年最新 介護ベッドおすすめ製品 (10万円以下で購入可能な介護ベッド)
アートグループ ケア3シリーズ

10万円前後で購入できる破格の3モーターの介護ベッドです。
3モーターなので、背上げ、脚上げ、ベッド高が電動無段階で行えます。

しかも、マットレスとベッド柵(サイドレール)まで付属します。
これは、すごいですね。

マットレス幅が99㎝なので、幅広設計です。
介護ベッドメーカーの定番サイズではないので、マットレスを変更する時には、種類バリエーションが少ないかもしれません。
それを踏まえても、コスパは抜群に良いので、安価に介護ベッドを導入したい方におすすめの製品です。

グランツ シエントII

電動機能がない軽度者向け介護用ベッドです。
床面高が6段階調節可能なので、組み立て時にご利用者さんに適した高さに設定することで、
立ち座り等の負担軽減が期待できます。
ベッドサイドの手すりと組み合わせて使用すると、より起き上がりやベッドからの立ち座りに役立ちます。

また、介護ベッドメーカーのレギュラーサイズである、91cm幅の介護ベッド用マットレスに対応していますので、ご利用者さんの状態に応じて、様々な種類の中から選択することができます。
布団や低いベッドからの立ち座りが大変になった方におすすめの介護ベッドです。

サイドレール対応の「シエント0」もラインナップしています。
別売りのサイドレールホルダーを使用することで、サイドレールが取り付け可能になり、ベッドからの転落やマットレス・布団のずれを防止することができます。

アテックス 収納式 電動リクライニングベッドAX-BE580

折り畳み式の介護ベッドをお探しの方には、
介護目線の機能があるアテックスのAX-BE580がおすすめです。
折り畳んでコンパクトになるのはもちろんのこと、キャスター付きで、移動に便利です。

フルオートストッパー機能により、広げてご使用する時は、固定脚が床に接地します。キャスターロックをかけ忘れたり、不意にベッドが動いてしまう心配がありません。

付属のマットレスは、ベッドと分離することができるので、衛生的です。

サイドレールも2本標準で付属しています。

折り畳み式のため、昇降機能はないですが、介護に配慮された仕様になっています。
折り畳み可能なタイプがご希望の方におすすめの介護ベッドです。

まとめ
介護ベッドは、ご利用者さんの身体状況や設置環境に合ったものを選ぶことが大切です。
また、介護者の負担軽減を考慮することもポイントです。
本記事で紹介した製品は、すべて2025年の最新モデルから厳選されたものです。
最適な1台を選ぶ際の参考にして頂けますと幸いです。
高機能な製品からコスパに優れた製品まで幅広いラインナップがあるので、
ぜひ用途やご利用者さんのニーズに合わせてご検討ください。
福祉用具専門相談員9年目。日々の業務での福祉用具に関する知識や様々な情報を発信します。ツイッターも見て頂けると嬉しいです。
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