はじめに
車椅子を「週末の冠婚葬祭や旅行先で1日だけ使いたいけど、どこで借りられるの?」
「いくらかかるの?」とお悩みではありませんか?
1日だけのために数万円出して購入するのはもったいなく、保管場所にも困ります。
しかし、無理をして車椅子なしで外出すると、ご本人が疲れてしまったり、介助者の負担が大きくなるリスクがあります。
私が福祉用具専門相談員として経験した10年の間でも、こうした「数日だけ借りたい」というご相談はとても多くいただきます。
だからこそ本記事では、単なるサービスの紹介だけでなく、「こういう人にはこの方法は合わない」といった現場目線の注意点も交えてご紹介していきます。
- 1日単位で車椅子をレンタルできる場所
- 利用シーン別!最適な選び方
- 気になる費用相場と注意点
これを読めば、必要な時に車椅子を手配することができ、お出かけ先でご家族で快適に過ごせるようになります。
- 費用を抑えたい → 「地域の社会福祉協議会」
- 即日対応・整備状況重視 → 「民間レンタル業者」
- 旅行先で使いたい → 「空港受け取り・宅配レンタル」
それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、あなたに最適な方法を見つけましょう!
1日からの車椅子レンタル活用シーンと選び方の目安
車椅子は1日~数日の短期でもレンタルが可能です。
「たった1日だけ借りたい」というご要望は、とても多くあります。
ここでは、よくある利用シーン別のメリットと、選び方の目安をご紹介します。
旅行やお出かけの負担を減らす「軽量タイプ」のメリット
車でのお出かけは、車椅子の積み降ろしが何度もあります。
標準的な車椅子は約15kg前後あるため、女性やご高齢の方がトランクへ積み込むには、かなり負担がかかる重さです。
そこでおすすめなのが「軽量タイプ」の車椅子です。
重量が10kg前後、携帯タイプのさらに軽いモデルでは8~9kg程度のモデルもあります。
これなら女性でも片手で持ち上げられます。
専門相談員としても、介助される方の腰を守るために軽量モデルを推奨しています。
ただし、長い時間軽量モデルの車椅子に座るのは、ご本人に負担が大きい場合があります。
身体状況を考慮した車椅子選びにも気を配りましょう。
急な骨折や捻挫など、短期間利用は購入よりレンタルが適している

数週間から数ヶ月で不要になるケガの場合、車椅子を購入するよりも短期レンタルを利用する方が合理的です。
車椅子を新品で購入すると数万円の出費になります。
さらに、完治した後に「保管場所をとる」「粗大ごみとして処分する手間や費用がかかる」といった問題も発生します。
必要な期間だけ借りて、不要になればそのまま返却できるレンタルであれば、無駄な出費を抑えられます。
完治後の処分の手間も省けるため、トータルで考えるとレンタルの方が安く、手軽に済みます。
冠婚葬祭などの場に馴染みやすいデザインの車椅子を選ぶポイント

結婚式や葬儀など、特別な日は「見た目」も重要です。
「いかにも介護用」の車椅子では、惨めな姿を写真に残したくないという本音もあるはずです。
レンタル業者によっては、礼服に合う黒フレームなど、落ち着いたデザインを選ぶことができます。
式場の雰囲気に馴染む車椅子を選ぶことで、ご本人の尊厳を守ることにつながります。
予約の際は、ぜひデザインの希望も伝えてみてください。
車椅子を1日だけレンタルできる場所・3つの選択肢
1日だけ借りたい場合、どこで借りるのが正解でしょうか。
レンタルできる場所は大きく分けて3つあります。
予算や受け取る場所など、目的によって最適な窓口が異なります。
1.費用を抑えたい場合の「地域の社会福祉協議会」

とにかく費用を抑えたい方は「地域の社会福祉協議会(社協)」がおすすめです。
自治体の窓口なので、無料や数百円の協力金だけで借りられます。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 貸出用途が限られる場合がある(病気や事故などの一時利用)
- 在庫がないと借りられない
- 機種を選択できない
- 事前の申請手続きが必要
- 平日しか窓口が開いていないことが多い
- その地域にお住まいの方限定の場合が多い
気になる方は地域の社会福祉協議会に確認しましょう。
2.種類の豊富さや整備を重視する場合の「民間レンタル業者」

急ぎで借りたい、綺麗な車椅子を使いたい。
そんな時は民間レンタル業者が確実です。
最大のメリットは、車椅子の種類が豊富でしっかり整備されていること。
在庫があれば、店舗受け取りで即日対応してくれることもあります。
専門相談員としての経験から言うと、民間業者は用途の相談に乗りやすいです。
お体に合ったサイズを安心して選べるのが強みです。
3.旅行先で受け取りたい場合に便利な「空港受け取りレンタル」

飛行機や新幹線の旅行では、家から車椅子を持っていくのは大変ですよね。
道中で車椅子が破損してしまうリスクもゼロではありません。
そこでおすすめなのが、宿泊先や空港で直接受け取れるレンタルです。
事前に手配しておけば、荷物を大幅に減らして移動できます。
大切なご旅行をトラブルなく楽しむための、賢い選択肢だと思います。
4.指定した場所で受け取れる「宅配レンタル」

店舗へ直接取りに行くのが難しい場合は、「宅配レンタル」が便利です。
自宅はもちろん、旅行先のホテルや帰省先など、指定した場所へ直接届けてもらえます。
急なケガで動けない時や、車椅子を積む車がない場合に大変役立ちます。
車椅子を自分たちで受け取りに行く運ぶ手間が省けるため、介助する方の負担も減らせます。
便利な宅配レンタルですが、往復の「送料」が別途かかる場合があります。
レンタル料金自体が安くても、送料を含めると予算をオーバーすることがあるため、総額を確認してから申し込みましょう。
1日レンタルの費用相場と知っておきたい注意点
旅行などの一時的な車椅子レンタルは、原則として介護保険が使えず、全額自己負担(自費レンタル)となります。
- 基本料金(1日): 数百円〜3,000円程度
- 送料: 往復数千円〜(宅配利用の場合)
【1日レンタル費用の注意点】
レンタル会社によって料金設定は異なります。
「日割り計算」を行っていない会社も多く、その場合は1日だけの利用でも、1ヶ月分と同じ料金を請求されることがあります。
また、ネットなどで宅配を使ってレンタルする場合、1日あたりのレンタル料が安くても、送料を含めるとトータルコストが高くなるケースがあります。
申し込む前に必ず「日割り対応の有無」と「送料を含めた総額」を確認しましょう。
用途と介助者の身体状況に合わせた車椅子の選び方
車椅子はどれも同じに見えますが、用途に合わないと負担が増してしまいます。
ご本人の身体状況や使用環境に合わせて選びましょう。
車の乗せ降ろしが多い場合は「軽量タイプ」
標準的な車椅子は約12〜15kgあります。
これを車のトランクへ持ち上げるのは女性や高齢者にはかなりの負担です。
乗り降りが頻繁な場合は、重量10kg未満の「軽量タイプ」や「携帯タイプ」を指定しましょう。2〜3kg違うだけでも、持ち上げ時の負担は軽減されます。
長時間の移動・式典には「クッション付きモデル」
結婚式などの長時間の行事では、座り心地が重要です。
一般的な車椅子の座面は薄い布一枚のため、長時間座ると以下の負担がかかります。
- お尻が痛くなる
- 姿勢が崩れて疲れやすくなる
対策として、レンタル時に「車椅子用クッション」をセットで借りましょう。
はじめからクッション性の高いモデルを選ぶのも有効です。
身体への負担が減り、長時間の外出も快適に過ごせます。
坂道や体力に不安がある場合は「電動アシスト付き」
坂道の多い観光地へ行く場合や、介助者の体力に不安がある場合は、電動タイプを検討しましょう。
電動アシスト付き車椅子や、電動モビリティ(WHILLなど)が大変便利です。
主なメリットは以下の通りです。
- 上り坂: 軽い力でスムーズに進める
- 下り坂: 自動ブレーキ機能で安全に下れる
介助する側・される側双方の負担が減り、安全に移動できます。
(※旅行先で長距離移動する場合は、事前にバッテリーの連続走行距離も確認しておきましょう)
車椅子以外に快適さをアップする「付属品」の活用
車椅子を借りる際、本体と一緒に「付属品」も検討してみましょう。
より快適に、安全に過ごすための工夫をご紹介します。
長時間の着座でもお尻が痛くなりにくい「車椅子用クッション」
標準的な車椅子の座面は、薄い布一枚で作られています。
旅行や式典などで長時間座り続けると、お尻が痛くなり姿勢も崩れてしまいます。
長時間利用する場合は、前述した「クッション付きモデル」をレンタルするか、「車椅子用クッション」の同時レンタルをおすすめします。
お尻や腰への負担が大幅に軽減され、最後まで快適に過ごせます。
段差移動をスムーズにする「スロープ」の同時レンタル
車椅子での移動中、わずかな段差でも苦労することがあります。
自宅の玄関や、外出先の段差を乗り越えるために、「スロープ」も一緒にレンタルも検討しましょう。
持ち運び可能な折りたたみタイプなら、車に積んで外出先でも使用可能です。
車椅子を持ち上げる必要がなくなり、介助する方の負担も大きく減らせます。
杖や歩行器との併用で移動の自由度を高める
外出先では、トイレの個室や飲食店内の狭い通路など、車椅子では入りきれない場所があります。そんな時のために、杖や歩行器をセットで借りておくのも有効です。
「基本は車椅子で移動し、数歩だけ歩く場面で杖を使う」といった工夫ができます。
利用者ご本人の状態に合わせて併用することで、移動の自由度が広がります。
スムーズにレンタルするための手順とチェック項目
最後に、トラブルなくレンタルの手続きを進めるための「事前確認事項」をまとめます。
ネット・電話での予約手順と本人確認書類の準備
予約方法は、主に「インターネット(Web)」と「電話」の2種類です。
状況に合わせて選びましょう。
日中忙しい方や、じっくり比較したい方におすすめです。希望の車種と期間を選び、必要事項を入力するだけで手続きが完了します。
「どれが良いか迷う」「明日すぐ使いたい」という場合は電話がスムーズです。
用途や体格を伝えれば、プロが最適な一台を提案してくれます。
初めての利用は「本人確認書類」が必要
初回レンタル時は、防犯や契約の都合上、原則として本人確認書類の提示が求められます。
運転免許証や健康保険証など、氏名と現住所がわかるものを準備しておきましょう。
- 店舗受け取り: 店頭で直接提示します。
- 宅配レンタル: 申込時に画像をアップロードするか、身分証のコピーを提出します。
事前に手元へ準備してから予約を進めるとスムーズです。
事前に確認しておきたい「車椅子の座幅」
車椅子には、利用者の体型に合わせた「座幅(座面の幅)」のサイズ展開があります。
適切なサイズを選ぶ目安は、「お尻の両脇に、手のひらが一枚ずつ入る程度のゆとり」があることです(お尻の幅+3〜5cm程度)。
車椅子の座幅は、一般的に「40cm」が標準的なサイズです。
- 体格が良い方: ゆったり座れる42cmを選ぶのがおすすめです。
- 大柄な方(44cm以上): レンタル会社によっては取り扱いがない場合があります。
座幅が合わないと、姿勢が崩れたり身体を痛めたりする原因になります。
予約の際は、利用者の身長・体重・体格を正確に伝え、在庫状況と合わせて最適なサイズを相談しましょう。
事前に確認しておきたい「車のトランク寸法」と「利用者の体格」
車椅子が車に乗らないというトラブルを防ぐため、事前に車のトランク寸法を測りましょう。
車椅子を折りたたんだ時のサイズ(幅・高さ・奥行き)が収まるかの確認が必須です。
注意すべきは「トランクの開口部」と「高さ」です。
中は広くても、入り口が狭くて積み込めないケースがあります。
タイヤが引っかかり、斜めにしないと入らない車種も少なくありません。
ご自身の車のトランク寸法(縦・横・入り口の高さ)をメモしておきましょう。
受け取り方法の比較(店舗来店と宅配配送)
車椅子の受け取り方法は、主に「店舗への来店」と「宅配配送」の2パターンがあります。
それぞれのメリット・デメリットを理解して、状況に合わせて使い分けましょう。
配送料がかからないことが大きなメリットの一つです。
多くの業者では、店舗での受け渡しであれば送料が無料になるため、費用を大幅に節約できます。
また、受け取り時に専門スタッフから直接、操作方法や折りたたみ方のレクチャーを受けられるのも大きな利点です。
初めて車椅子を扱う方や、ブレーキ操作などに不安がある方は、対面で説明を受けられる店舗受取を選ぶと安心です。
指定した日時に、自宅の玄関先や宿泊先のホテル、空港のカウンターなどで車椅子を受け取れます。
店舗まで足を運ぶ時間がない方や、車椅子を持って移動するのが大変な方(公共交通機関での旅行など)に最適です。
ただし、レンタル料金とは別に往復の送料(数千円〜)が発生するケースが一般的です。
また、ホテルで受け取る場合は、事前にフロントへ「レンタル車椅子が届くこと」を伝えて了承を得ておく必要があります。
大型連休は予約が込み合うので早めの手配を
ゴールデンウィーク、お盆、年末年始などの大型連休は、旅行や帰省でレンタルの需要が急増します。
直前になって「在庫がない」と慌てないよう、日程が決まり次第、早めに在庫確認と予約を済ませましょう。
子供用や電動タイプなどの特殊な車椅子は在庫数が少ないため、余裕を持った手配が大切です。
まとめ:車椅子レンタルで、安心快適なお出かけを
1日からの短期レンタルは、ご家族とのご旅行や冠婚葬祭を、安全かつ快適にするための良い選択の1つです。
無理をして購入したり、車椅子なしで外出してご負担をかけたりする前に、便利なレンタルサービスを活用しましょう。
- 目的に合わせて窓口を選ぶ
(条件が合えば社協、利便性と確実性なら民間・宅配レンタル) - 利用環境に合った車種を選ぶ
(車の積み下ろしが楽な軽量タイプ、長時間の座り疲れを防ぐクッション付きなど) - 送料を含めた「総額」を必ず確認する
週末や大型連休の時期は、人気の軽量タイプや電動モデルの在庫が埋まってしまう場合があります。
「希望の日に借りられなかった…」と直前で慌てないためにも、お出かけの日程が決まったら、まずは早めに在庫状況をチェックしておくのが安心です。
「うちの車のトランクに乗るかな?」
「どのサイズを選べばいいかわからない」と迷ったときは、一人で悩まずプロの専門相談員に頼るのが一番の近道です。
この記事が、安心で快適な外出のお役に立てましたら幸いです。
2015年に福祉用具専門相談員の資格を取得。北海道を拠点に10年以上、現場での選定・適合に携わっています。
介護用品は「高機能=正解」ではありません。「使う人の身体や環境に合うか」を最重視しています。
当ブログでは、メリットだけでなく「こういう人には合わない」という注意点も発信しています。後悔しない用具選びをお手伝いします。
保有資格: 福祉用具専門相談員 / 福祉住環境コーディネーター2級
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