はじめに
「実家の和式トイレで親が転倒しないか心配だけど、数十万円のリフォーム工事をする余裕はない」
「ホームセンターに行ったけど、どれが自宅のトイレに合うのかわからない」とお悩みではありませんか?
和式トイレでの立ち座りは足腰に負担がかかるだけでなく、転倒による骨折など、その後の生活を変えてしまう事故につながるリスクもあります。
この記事では、安全に洋式化できる「和式トイレにかぶせる便座」についてご紹介します。
・和式トイレにかぶせる便座の購入場所はどこがいいか?
・間違えない選び方と事前確認
・段差の有無別おすすめ商品8選
・ズレや掃除の手間などデメリットの解決策
失敗しない選び方のポイントは、「購入場所」と「トイレの段差の有無」です。
それでは、それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
和式トイレにかぶせる便座は「簡易洋式便座」と呼ばれます
和式トイレにかぶせるだけで、洋式トイレのように座って使えるようになる商品のことを、一般的に「簡易洋式便座」や「簡易洋式トイレ」と呼ばれています。
大がかりな工事をすることなく、既存の和式便器の上に置くだけで洋式化できるのが特徴のアイテムです。
和式トイレにかぶせる便座はどこで購入できるのか?
和式トイレにかぶせる便座は、カインズやコメリといったホームセンターでも販売されています。
しかし、実店舗の多くは、商品の在庫や選択肢が限られていることが多いため、実際にはネット通販での購入をおすすめします。
便座はトイレの段差の有無に合わせて選ぶ必要があり、暖房や柔らかい素材などの機能も様々です。
ご自宅の環境やご両親の身体の状態に合う商品が、必ずしも店頭に置いてあるとは限りません。
ネット通販であれば豊富な種類から比較検討できるため、種類に妥協せずに便座を選ぶことができます。
また、大きな段ボールを持ち帰る労力がかからない点もメリットです。
便座の箱はサイズが大きくかさばるため、お店から車へ積み込み、ご自宅のトイレまで運ぶのは一苦労です。
ネット通販を利用すれば玄関先まで直接届くため、持ち運びの負担が軽減されます。
離れて暮らすご実家へそのまま配送することもできるので、ご家族にとってもおすすめです。
失敗しない選び方のポイントは「トイレの段差の有無」
かぶせる便座を購入する際、まず確認すべきなのはご自宅のトイレの形状です。
和式トイレに段差があるかないかによって、選ぶべき商品の種類が分かれます。
誤った種類を購入すると正しく設置できないので、必ず事前にチェックしましょう。
段差がある和式トイレには「両用式」を選ぶ
一段高くなっている段差の上に便器があるトイレには、「両用式」を選びます。
「両用式」は段差をまたぐようにかぶせたり、前方の金隠し部分に挟み込んだりして設置するタイプです。
段差がない平らな和式トイレには「据置式」を選ぶ
床が平らで段差のない和式トイレには、床面に直接置く「据置式」を選びます。
据置式の便座の中には、設置する向きを90度や180度変えられる便利な商品が販売されています。
トイレ内の広さやドアの開閉スペースに合わせて、ご両親が最も立ち座りしやすい方向へ調整することができます。
和式トイレにかぶせる便座の設置方法と注意点
和式トイレにかぶせる便座は、特別な工事や大がかりな作業なしで、手軽に洋式トイレへと変更できるのが魅力です。
設置前のサイズの確認
便座を設置したあとに、トイレのドアがぶつからずにしっかり閉まるか、足元に立ち上がるための十分なスペースが確保できるかを確認することが重要です。購入前には必ずトイレ内の寸法を測っておきましょう。
また、暖房便座やウォシュレットなどの機能を選ぶ場合は、トイレ内に電源コンセントがあるかどうかの確認も必要です。
ズレや転倒を防ぐための安全対策
置くだけの便座は完全に固定されているわけではないため、勢いよく座ったり体重の偏りがあると、便座がずれてしまう危険性があります。
特に床がタイルの場合は、滑りやすいため、立つ・座る動作をゆっくり行うよう心がけましょう。
不安がある場合は、便器にネジで仮固定できるタイプを選ぶと安心です。
さらに、手すりを併用することで、安全性をより高めることができます。
ペーパーホルダーの位置変更
和式から洋式化すると座る体の向きが前後逆になるため、もともと壁についているトイレットペーパーホルダーが背中側になり、手が届きにくくなる場合がよくあります。
その場合は、設置位置を変更するか、床に置くスタンドタイプのペーパーホルダーを用意しておくと、不便なく使用できます。
【段差あり・両用式】おすすめの簡易洋式便座4選
サニタリエース HG 両用式 ┃アロン化成
特徴
・工事不要で和式便器にかぶせるだけの簡易設置
・バタンという音がしないオイルダンパー使用の上フタと便座
・立ち座りを楽にし、長く座っても疲れない便座形状
・簡単に取り外せて手軽に掃除可能な便座
重量:約3.2kg
サイズ
高さ:21.5cm
幅:40cm
素材:ポリプロピレン
サニタリエース OD 両用式┃アロン化成
特徴
・段差がある和式トイレへの設置
・標準、ソフト、暖房から選べる3種類の便座バリエーション
・補高スペーサーの取り付け対応
・臭いがもれにくい非水洗対応のフタ形状
・切りかき部を当てるだけの簡単な位置決め
重量:約2.0kg〜約2.7kg(便座タイプにより異なる)
サイズ
高さ:22cm
幅:40cm
素材:ポリプロピレン(ソフト便座は発泡ポリエチレン)
※サニタリーエース HGとODの違いについては、この後ご紹介しています。
トンボ 洋式便座 両用型┃新輝合成
特徴
・工事不要で段差がある和式トイレに設置可能な両用タイプ
・水洗用配管を逃がすために製品奥側に設けられた半円状の切り込み
・いつでも清潔に使うことができる抗菌加工済みの便座
・安全かつ安心して使用できるSGマーク認定商品
重量:2.25kg
サイズ
高さ:20.5cm
幅:40.5cm
素材:ポリプロピレン、NRゴム、スチール
スワレット┃TOTO
特徴
・傷がつきにくく汚れが落としやすい衛生的な陶器製
・ウォシュレットや暖房便座などの後付け設置が可能
・和式トイレでの立ち座りによる足腰への負担軽減と転倒リスクの低減
素材:陶器
- 高額なリフォーム費用を抑えて手軽にトイレを洋式化したい方
- ウォシュレットや暖房便座を後付けしたい方
【段差なし・据置式】状況別おすすめの簡易洋式便座4選
サニタリエース HG 据置式 ┃アロン化成
特徴
・段差のない和式トイレに置くだけで完了する手軽な設置
・足腰への負担を軽減し、長時間座っても疲れにくい波型形状の便座
・簡単に取り外すことができ、手軽にお手入れが可能な便座部分
・うっかり手を離しても静かに閉まる、オイルダンパー採用の上フタと便座
重量:約4.6kg
サイズ
高さ:44cm
幅:42cm
素材:ポリプロピレン
サニタリエース OD 据置式┃アロン化成
特徴
・段差のない和式トイレにかぶせるだけの簡単設置
・使う方の好みに合わせて標準、ソフト、暖房から選べる便座バリエーション
・本体と便座のすき間をなくして臭いをもれにくくした被せフタ形状
・うっかり手を離しても静かに閉まるオイルダンパー採用の上フタと便座
重量:約4kg(標準・ノーマルタイプ)
サイズ
高さ:40cm
幅:37cm
素材:ポリプロピレン(ソフト便座はEVA)
サニタリエース SD 据置式┃アロン化成
特徴
・段差のない和式トイレに置くだけで完了する簡単な設置
・トイレのスペースに合わせて向きを変えられる90度回転設置
・本体と便座のすき間をなくして臭いをもれにくくした被せフタ形状
・使う方の好みに合わせて選べるソフト便座と暖房便座のバリエーション
・身体状況に合わせて、補高(5㎝、8㎝)の有無を選択可能
重量:約3.5kg(ソフト便座)
サイズ
高さ:40cm
幅:44.5cm
素材:ポリプロピレン
トンボ 洋式便座 据置型┃新輝合成
特徴
・段差のない和式便器にのせるだけで完了する簡単な設置
・大がかりな工事不要で和式を洋式に変更できる手軽さ
・いつでも清潔な状態を保ちやすい抗菌加工
・すぐに使い始めることができる専用便座カバーの付属
重量:約3.4kg
サイズ
高さ:39.5cm
幅:43.5cm
素材:ポリプロピレン、スチール、NRゴム
サニタリエース HGとODの主な違い
アロン化成の「サニタリエース」シリーズである「HG」と「OD」は、どちらも和式トイレにかぶせる便座(簡易洋式便座)ですが、備わっている機能やポイントに違いがあります。
ご本人の身体の状態や、ご自宅のトイレ環境に合わせて選べるように2つの違いをまとめました。
1. 立ち座りのサポート機能(便座の高さ)
- サニタリエース HG:お尻が高く立ち上がりやすい
HGは、便座のお尻部分がやや高く設計されています。
体重が分散されるため長く座っても疲れにくく、足腰が弱ってきた方の立ち座り動作を楽にしてくれます。 - サニタリエース OD:別売りのパーツで高さを調整できる
OD自体は標準的な形状ですが、別売りの「補高スペーサー」を便座の下に取り付けることができます。
使う方の体格に合わせて、便座の高さを段階的に上げる(補高する)ことが可能です。
HGにはこのスペーサーは取り付けられません。
2. ニオイ対策と機能のバリエーション
- サニタリエース HG:標準的なプラスチック便座のみ
HGはニオイ漏れを防ぐ被せフタ形状ではなく、ソフト便座や暖房便座といったバリエーションもありません。(標準的なプラスチック便座のみです) - サニタリエース OD:ニオイ漏れを防ぎ、暖房機能なども選べる
ODは、便座とフタの隙間をなくした「被せフタ形状」になっています。
便器から上がってくるニオイが漏れにくいため、汲み取り式(非水洗)トイレに特に向いています。
また、通常のプラスチック便座だけでなく、「ソフト便座」や冬場に温かい「暖房便座」といった機能付きのタイプが選べるのもODの強みです。
3. ズレにくさ(両用式の場合)
段差があるトイレに設置する「両用式」の場合、安定性に違いが出ます。
- サニタリエース HG:便器に仮固定できる
HGの両用式は、本体をプラスチックのネジで和式便器に仮固定できるため、置くだけのタイプよりもズレにくく安定します。 - サニタリエース OD:便器への固定はできない
ODの両用式は仮固定の機能がないため、便器の上に置くだけの設置となります。 ※なお、段差がないトイレ用の「据置式」であれば、どちらの機種も床面にネジで固定することが可能です。
4. 設置の自由度とお手入れ(据置式の場合など)
- サニタリエース HG:180度向きを変えられ、掃除も手軽
HGの「据置式」は、トイレ内のスペースに合わせて便座の向きを180度変えて設置できる機能があります。
また、便座部分だけを簡単に取り外せるため、手軽に丸洗いなどの掃除ができるのもHGのメリットです。 - サニタリエース OD:向きの変更はできない
ODの据置式は、便座の向きを変えて設置することはできません。
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HGとODどちらを選ぶべきか?
- 立ち上がりのしやすさ(安定感)を最優先したい人
- 段差ありのトイレで、便座がズレるのを防ぎたい人(仮固定機能)
- 便座を外して手軽に掃除をしたい人
- 汲み取り式トイレで、ニオイ漏れを少しでも減らしたい人
- 冬の寒さ対策として「暖房便座」にしたい、あるいはお尻が痛くならない「ソフト便座」を選びたい人
- 別売りパーツを使って、便座の高さを細かく調整したい人
ご家庭のトイレが水洗か汲み取り式か、そしてご両親が「冷たさ」と「立ち座りの不安」のどちらをより解消したいかによって選ぶのが失敗しないポイントです。
| 機能・特徴 | サニタリエース HG | サニタリエース OD |
| 便器への仮固定(両用式) | 可能 | 不可 |
| 180°回転設置(据置式) | 可能 | 不可 |
| フタ・便座の開閉(オイルダンパー) | あり | あり |
| 非水洗対応のフタ形状(ニオイ対策) | なし | あり |
| 補高スペーサーの取り付け | 不可 | 可能 |
| 便座のバリエーション | 標準便座のみ(他は取付不可) | 標準・ソフト・暖房便座あり |
かぶせる便座のデメリットは「掃除の手間」と「不安定さ」
和式トイレにかぶせる便座は手軽で便利ですが、購入前に知っておくべき注意点があります。
ここでは、特に気をつけたい2つのポイントと、具体的な解決策をお伝えします。
プラスチック製は汚れが落ちにくいためこまめな手入れが必要
一般的なかぶせる便座はプラスチック素材で作られているため、陶器の便器と比べて汚れが落ちにくいという特徴があります。
また、既存の和式便器に被せて使う構造上、便器との隙間や便座の内側に汚れが溜まりやすい点もデメリットです。
外側の表面は、市販のトイレクリーナーなどで毎日こまめに拭き取るようにしてください。
手が届きにくい内側については、定期的に便座ごと取り外し、お風呂場や屋外へ運んで丸洗いやこすり洗いをすると清潔な状態を保てます。通常のトイレ以上にこまめなお手入れが必要になることを、事前に想定しておきましょう。
ズレや転倒を防ぐためにはネジ固定タイプや手すりを併用する
かぶせる便座は上に置くだけで設置できる反面、床や便器に完全に固定されているわけではありません。
そのため、勢いよく便座に座ったり、立ち上がる時に体重を片側にかけたりすると、便座ごとズレてしまう危険性があります。
床がタイルの場合は滑りやすいため、立ち座りの動作はゆっくりと行うよう、使用するご本人に伝える必要があります。
安全面が心配な場合は、床などにネジで仮固定できるタイプの商品を選ぶのがおすすめです。
また、工事不要で置けるトイレ用手すりや滑り止めマットを一緒に使うことで、転倒のリスクを減らし、高齢の方でもより安全にトイレを使えるようになります。
便座と一緒に揃えると快適になる関連アイテム
和式トイレを洋式に変更すると、体の向きや使い勝手が変わるため、これまで感じなかった新たな不便が出てくることがあります。購入後に慌てないよう、便座と一緒に揃えておきたい便利なアイテムを2つご紹介します。
トイレットペーパーが取りにくくなる問題は「スタンド式」で解決
和式トイレに便座をかぶせると、座る向きが今までと前後逆になるケースがよくあります。その結果、もともと壁についていたペーパーホルダーが背中側になり、手が届きにくくなってしまいます。
無理に体をねじって紙を取ろうとすると、ご両親がバランスを崩して転倒する危険があります。
壁がタイルの場合でも、床に置くタイプのスタンド式ペーパーホルダーを用意すれば、壁に穴を開けることなく、手が届きやすい安全な位置にすぐ設置できます。
暖房機能がない便座の冷たさ対策には「O型便座カバー」
価格を抑えたシンプルなプラスチック製のかぶせる便座には、暖房機能がついていません。
冬場に冷え切った便座に座ると、高齢のご両親の体への負担が大きくなります。
コンセントがなくてもできる寒さ対策として、市販の「O型便座カバー」をあわせて用意しておくのがおすすめです。
便座の冷たさをやわらげ、座った時のひんやりとした不快感をなくすことができます。
まとめ
ご実家の和式トイレに不安を感じていても、大がかりなリフォームは必要ありません。
「かぶせる便座」を活用すれば、工事不要で洋式トイレへ手軽に変更できます。
失敗しないためのポイントは、トイレの「段差の有無」を事前に確認することです。
段差がある場合は「両用式」、段差がない場合は「据置式」を選びましょう。
ご両親の身体の状態に合った最適な商品(暖房機能や固定具の有無など)を見つけるには、種類が豊富に揃うネット通販での購入がおすすめです。
大きくてかさばる便座をご実家まで運ぶ手間も省けます。
また、より安全で快適なトイレ環境を作るために、「手すり」や「スタンド式ペーパーホルダー」もあわせて準備しておくと安心です。
まずはご実家のトイレの形状を確認し、ご両親が毎日安心して使える便座を選んでみてください。
2015年に福祉用具専門相談員の資格を取得。北海道を拠点に10年以上、現場での選定・適合に携わっています。
介護用品は「高機能=正解」ではありません。「使う人の身体や環境に合うか」を最重視しています。
当ブログでは、メリットだけでなく「こういう人には合わない」という注意点も発信しています。後悔しない用具選びをお手伝いします。
保有資格: 福祉用具専門相談員 / 福祉住環境コーディネーター2級
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