車椅子の選び方を完全ガイド|種類・サイズ・レンタル購入の判断まで一気に分かる

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はじめに

車椅子は、単なる移動手段ではありません。
「行きたい場所へ行く」「やりたいことを続ける」「家族の介護負担を軽くする」など、生活の質に大きく関わる福祉用具です。

一方で、「なんとなく」で選んでしまうと、身体や住環境に合わず、使いにくさにつながることがあります。
例えば、姿勢が崩れる「ずっこけ座り(仙骨座り)」は、ご本人の不快感だけでなく、介助するご家族の負担増加(腰痛・ストレス)の原因にもなります。

車椅子は、利用する方の身体状況や生活環境によって、適した種類や機能が大きく変わります。
そのため、「どこを確認すればよいのか」を整理して考えることが大切です。

この記事では、初めて車椅子を選ぶ方でも迷わないように、選び方のポイントを順序立てて分かりやすく解説しています。
ご本人とご家族の両方にとって、安心して使える車椅子を選ぶための判断基準としてお役立てください。

介護用品情報サイト「介護マーケット」を運営している、もっちゃんといいます。

福祉用具専門相談員として10年以上、多くのご家庭で「車椅子選びの悩み」に向き合ってきました。

現場で培った経験と知識を基に、カタログだけでは分からない「使いやすい車椅子の選び方」を分かりやすく解説します。

この記事が、車椅子をご利用される方とご家族にとって最適な一台と出会うきっかけになれば幸いです。

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【2軸で見る】車椅子タイプの全体像

①操作 × ②目的で整理すると、選択肢は次のように見えてきます。

自走式 × 目的別

介助式 × 目的別

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まずは「この2つ」だけ決めれば迷わない

初めて車椅子を検討される方は、最初に次の2点を決めると選びやすくなります。

  1. 誰が操作するか(自走/介助)
  2. いちばん困っていることは何か(目的)

この2つが決まれば、その後に出てくる
「多機能」「モジュール」「ティルト・リクライニング」「軽量」「電動」
といった言葉は、“目的別の選択肢”としてわかるようになります。

この記事の読み方ガイド

  • 「自走・介助」で迷っている → 1章へ
  • 「姿勢・移乗・長時間座位」で困っている → 2章へ
  • 「家の狭さ・外出・旅行」で困っている → 3章へ
操作の主体\目的移乗を楽にしたい姿勢を安定させたい・長時間座る家が狭い・小回り重視車に積む・旅行坂道・長距離移動
自走式多機能タイプ
(肘掛跳ね上げ・足置き可動)
モジュールタイプ
ティルト・リクライニング
スリムタイプ
6輪タイプ
軽量タイプ
背折れ機能
電動車椅子
(ジョイスティック型)
介助式多機能タイプ
(移乗特化)
ティルト・リクライニングスリムタイプ
6輪タイプ
軽量+背折れ電動アシスト型
シニアカー
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車椅子選びで後悔しないための「6つの項目」

車椅子は種類が多く、「どれを選べばいいのか分からない」と感じる方も少なくありません。
そんなときは、まず次の6つのポイントを整理することで、車椅子選びの方向性が見えてきます。

車椅子選びでよくある失敗として、
「サイズが合わず姿勢が崩れてしまう」
「自宅の廊下を通れない」
「移乗がしづらく、介助者の負担が大きくなる」
といったケースがあります。

こうした失敗の多くは、購入前に確認すべきポイントを整理することで防ぐことができます。

この記事では、これら6つのポイントを順番に確認しながら、車椅子の選び方を分かりやすく解説していきます。
気になる項目から読みたい方は、目次から該当箇所をご覧ください。

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1.車椅子の操作は誰が?(自分でこぐ/介助者が押す)

車椅子は、「誰が、どこで、どう使うか」によって、大まかなタイプが決まります。
まずは利用目的と身体状況を整理し、自分に合った種類の方向性を考えましょう。

最初に確認するのは、「操作を誰が行うか」です。
自分で動く場合は「自走式」、介助者が操作する場合は「介助式」を基準にタイプを決めます。

その後、身体状況に応じて、必要な機能や特徴を持つ車椅子を選んでいきます。

自走式車椅子の特徴

「自走式」は、タイヤの外側に付いているリング(ハンドリム)を使って、利用者自身が操作できるタイプです。
一見するとすべて同じに見えますが、介助式とは構造や使い勝手が大きく異なります。

自走式のメリット

自由に移動しやすく、走行が安定しやすい
自分の意思で移動できるため、活動範囲の維持や身体機能の維持につながる場合があります。
また、大きなタイヤにより段差や屋外のデコボコ道でも比較的安定して走行できます。
低床タイプ(座面高が低いタイプ)であれば、「足こぎ移動」にも対応しやすく、リハビリ目的で選ばれることもあります。

自走式のデメリット

サイズが大きくなりやすく、保管や車載に注意が必要
ハンドリムと大径タイヤの構造により、横幅や厚みが出やすく、狭い室内では取り回しに注意が必要です。
また、介助式に比べて重量が重くなる傾向があるため、頻繁に持ち上げる場面がある場合は確認が必要です。

「自走式」はこんな方におすすめ
  • 腕の力があり、自分のペースで移動したい方
  • 麻痺側の足を使い、足こぎで移動範囲を広げたい方
  • 屋外の散歩など、段差のある場所を通る機会が多い方
    (介助で使用する場合でも、タイヤが大きい方が押しやすいため)

介助式車椅子の特徴

介助式車椅子は、後輪のタイヤが小さく(主に12〜16インチ)、手でこぐためのハンドリムが付いていないタイプです。
その名の通り、介助者が押して移動することを前提としており、自分で車椅子を操作しない方に選ばれることが多いタイプです。

介助式のメリット

コンパクトで扱いやすく、持ち運びに向いている
自走式に比べて軽量で折りたたみサイズも小さくなる傾向があり、車への積み込みや玄関収納がしやすくなります。
また、全幅が比較的スリムな製品が多く、狭い廊下や室内でも小回りが利きやすい特徴があります。
さらに、多くの製品に介助用ブレーキが付いており、坂道などでも安全に操作しやすくなっています。製品によっては、未装備品もあるかもしれませんので、要確認しましょう。

介助式のデメリット

自力移動ができず、屋外の路面状況の影響を受けやすい
ハンドリムがないため、自分の意思で移動することはできません。
また、小径タイヤのため、砂利道やデコボコ道では走行抵抗が大きくなりやすく、段差越えの際は介助者の負担が増える場合があります。

「介助式」はこんな方にはおすすめ
  • 自力での移動が難しく、移動の全般で介助が必要な方
  • 通院や買い物が中心で、頻繁に車への積み下ろしを行う方
  • 自宅の廊下や間口が狭く、少しでもコンパクトな車椅子が必要な方

車椅子は「軽さ=正義」ではない場合も

車椅子を選ぶ際は、「軽ければ扱いやすい」と考えがちですが、軽さだけを優先すると、押しやすさや走行時の安定性に影響することがあります。
例えば、軽すぎて直進が不安定になる、段差でふらつきやすいといったケースもあります。

軽量モデルにはメリットも多い一方で、使用環境や身体状況によっては注意が必要です。
軽量車椅子を選ぶ際のポイントや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

自走式と介助式比較表

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2.身体状況の悩みは?(移乗介助/姿勢の安定性/長時間座る)

「車椅子からベッドに移るのが大変」
「座っていると体が傾いてしまう」

このような具体的な悩みがある場合は、標準タイプだけでなく、その動作や姿勢をサポートする機能を備えた車椅子を検討する必要があります。

車椅子には、自走式・介助式それぞれに、身体状況に合わせたさまざまな機能タイプがあります。
ここでは、「多機能タイプ」「モジュールタイプ」「ティルト・リクライニングタイプ」について解説します。

多機能タイプ

「ベッドへの乗り移りが大変になってきた」
「座っていると体が傾く」
そんな悩みが出てきたら、標準タイプではなく「多機能タイプ」を検討しましょう。
多機能タイプは、標準的な車椅子に「調整機能」や「可動パーツ」を追加し、利用者の身体状況や生活環境に合わせて調整できる車椅子です。
単に移動するだけでなく、「移乗のしやすさ」や「姿勢の安定」をサポートする機能が充実しています。

肘掛けが動く(移乗・姿勢サポート)

肘掛けを跳ね上げたり高さ調整したりすることで、ベッドやトイレへの移乗がしやすくなります。
また、適切な高さに合わせることで、上半身を支えやすくなり、姿勢の崩れや疲労軽減にもつながります。

足置きが動く・外れる(移乗・接近・足こぎ対応)

足置きを外側に開いたり取り外したりすることで、立ち上がり動作や移乗動作が行いやすくなります。
また、足こぎ移動を行う場合にも対応しやすくなります。

背もたれや座面を調整できる(姿勢保持)

背もたれの張り具合などを調整することで、利用者の体型や姿勢に合わせやすくなり、長時間座位の負担軽減にもつながります。

モジュールタイプ

「多機能タイプ」が移乗のしやすさに特化しているのに対し、モジュールタイプは「身体への適合(フィッティング)」に特化している点が最大の違いです。

「標準サイズの車椅子だと体に合わない」、「足こぎしたいが座面が高くて足が届かない」
こうした車椅子と身体サイズの不一致を調整できるのが、モジュールタイプの車椅子です。

モジュールタイプは、各パーツの位置や寸法を細かく調整でき、利用者の体格や身体状況に合わせて「フィット感」を高められることが特徴です。

サイズを細かく調整できる(体格に合わせやすい)

座面の高さや幅、肘掛けの高さなどを調整することで、体格や姿勢に合わせた設定が可能です。
特に、足こぎ移動を行う場合は、座面を低く設定することで足が床に届きやすくなります。

操作のしやすさと安定性を調整できる

一部の機種では、後輪の位置を調整することで、操作のしやすさや走行時の安定性を変えることができます。

身体状況の変化に対応しやすい

体重変化や身体機能の変化があっても、調整することで長く使い続けやすい特徴があります。

「モジュールタイプ」の注意点

調整機能が多い分、標準タイプより重量が重くなる傾向があります。
また、折りたたみ時のサイズも大きくなる場合があるため、車載や持ち運びが多い場合は確認が必要です。

ティルト・リクライニングタイプ

ティルト・リクライニングタイプとは

「長時間座ると体が傾く」「お尻が痛くなる」「自分で座り直しができない」
こうした悩みをサポートするのが、ティルト・リクライニングタイプの車椅子です。

背もたれや座面の角度を調整することで、姿勢を安定させたり、お尻や背中にかかる圧力を分散したりすることができます。

ティルトとリクライニングの違い

ティルト(座面ごと後ろに傾く)

座面と背もたれの角度を保ったまま、椅子全体を後ろに傾ける機能です。
お尻と背中がシートに密着したまま倒れるため、前ずれを防ぎやすく、長時間座る方や床ずれ予防に向いています。

リクライニング(背もたれだけ倒れる)

背もたれのみを後ろに倒す機能です。
身体を伸ばして休んだり、おむつ交換や更衣などの介助をしやすくなります。
ただし、背中がシートと擦れてお尻が前にずれる場合があります。

現在主流なのは、ティルト+リクライニング両方付き

現在は両方の機能を備えたタイプが主流です。
ティルトで姿勢のズレを防ぎながら、リクライニングで休息姿勢をとることができるため、姿勢保持と快適性を両立できます。

ティルト・リクライニングタイプの注意点

・車体重量が重くなりやすい(20〜30kg前後)
・サイズが大きくなりやすい
・介助者が操作方法に慣れる必要がある

ティルト・リクライニングタイプ選び方の目安

・長時間座ることが多い
・姿勢が崩れやすい
・自分で座り直しが難しい

このような場合に適しています。

車椅子タイプ比較表

タイプ役割機能・特徴メリット注意点向いている人
多機能タイプ移乗しやすくする肘掛け跳ね上げ・高さ調整/足置き開閉・着脱/背張り調整乗り降りしやすい/介助負担を減らせる/姿勢を合わせやすい標準型よりやや重い乗り降り介助が必要な方/移乗を安全にしたい方
モジュールタイプ身体に合わせて調整する座幅・座奥行・前座高調整/アーム高さ調整/車軸位置調整(機種による)体格にフィット/こぎやすさ調整可/長期使用しやすい重量が増えやすい/折りたたみ時厚みが出やすい体格が変わりやすい方/姿勢をしっかり合わせたい方/長く使う方
ティルト・リクライニングタイプ姿勢保持・除圧・休息ティルト(座面ごと傾斜)/リクライニング(背もたれ角度調整)前ずれ防止/床ずれ予防/長時間座位が楽重量・サイズが大きくなりやすい/操作に慣れが必要長時間座る方/姿勢保持が難しい方/座り直しが困難な方
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3.使用場所や家の動線は?(狭い室内/段差のある屋外/長距離移動/旅行)

身体に合った車椅子でも、生活環境に合っていなければ使いにくくなってしまいます。

例えば、
・狭い室内 → スリムタイプ・小回りタイプ
・通院や旅行(車載が多い) → 軽量・コンパクトタイプ
・長距離移動や坂道 → 電動タイプ

このように、使う場所や目的に合わせて優先する機能を考えることが重要です。

狭い住宅には「スリム・コンパクトタイプ」

「廊下が狭くて通れない」
「ドアの入口でタイヤが引っかかる」

こうした日本の住宅事情に対応するために設計されたのが、
全幅を抑えたスリム・コンパクトタイプの車椅子です。

全幅を抑えた設計(幅狭タイプ)

一般的な車椅子の全幅は 約60〜65cm ですが、
スリムタイプでは 約50〜55cm前後
中には 40cm台(約48cm) の製品もあります。

ハンドリムの位置やフレーム構造を工夫することで、
座るスペースを確保しながら車体だけを細くしています。

そのため、
・マンションのトイレ
・狭い廊下
・玄関周り

などでも通りやすくなります。

上記画像は、全幅49㎝、座幅40㎝のミキ CRT-SG-2

狭い室内には「6輪タイプ」も選択肢

スリムタイプの中には、6輪構造の車椅子もあります。

中央の駆動輪を中心に、その場で方向転換できるため、
狭い廊下や玄関でも切り返しが少なくなります。

※注意点
・段差や屋外路面にはやや弱い傾向があります

上記画像は、狭い場所でも安定した走行と小回りが利く6輪車でありながら、段差・傾斜に対応する ミキのSKR-5

選ぶときの注意点

■ 自走する場合
手や肘が動くスペースが必要です。
ドア幅ぴったりではなく、数cmの余裕を見て選びましょう。

■ 座幅は別で確認
全幅が狭くても、座幅まで狭いと姿勢崩れや床ずれの原因になります。
「全幅」と「座幅」は別項目で確認 が重要です。

通院・旅行が楽になる「軽量+背折れ機能」タイプ

「通院のたびに車に積むのが大変」
「旅行に持って行きたいけれど重くて持ち上げられない」

こうした持ち運びの負担を減らすために設計されたのが、
軽量素材+背折れ機能を備えた車椅子
です。

車に積みやすい「背折れ機能」

背折れとは、背もたれ部分を後ろに折りたためる機能です。

通常は折りたたんでも高さは
約85〜90cm程度ですが、

背折れ機能があると
約60〜70cm程度まで低くできます。

・タクシーのトランク
・軽自動車
・高さの低い荷室

にも積みやすくなります。

持ち上げやすい「軽量設計」

一般的な車椅子(約15kg前後)に対して、
軽量タイプは 約9〜12kg前後 まで軽くなっています。

これにより、

・トランクへの積み下ろし
・玄関段差の持ち上げ
・外出時の負担

を大きく減らすことができます。

軽量車椅子の注意点

軽さを優先しているため、

・長時間座ると疲れやすい
・振動を感じやすい
・安定性がやや下がる場合がある

といった特徴もあります。

長時間使用する場合は、クッション併用がおすすめです。

軽量車椅子を選ぶ際のポイントや注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。

軽量車椅子が向いている使い方

・通院
・買い物
・旅行
・外出先で短時間使用

移動手段として車椅子を使う方に向いています。

▼旅行や通院に便利な車椅子の紹介は、以下記事もご参照ください

行動範囲を広げる「電動車椅子」

「腕の力が弱くて長距離を漕げない」
「坂道が多く、外出が大変」

こうした移動の悩みをサポートするのが、
モーターの力で走行する電動車椅子です。

電動車椅子は、大きく分けて3つのタイプがあります。

操作方法で選ぶ「3つのタイプ」

ジョイスティック型(自走用)

手元のレバー操作で前後左右に移動できます。
握力が弱い方や、長距離移動が必要な方に向いています。

ハンドル型(シニアカー・電動カート)

ハンドル操作で走行する屋外向けタイプです。
買い物や通院など、日常の外出手段として使われます。
※保管スペースの確保が必要です。

介助用電動アシスト

介助者が押す力をモーターが補助します。
坂道や長距離の介助移動の負担を減らせます。

電動車椅子の知っておきたいポイント

■ 免許不要・歩行者扱い
電動車椅子は歩行者として扱われ、歩道を走行します。
最高速度は時速6km程度です。

■ 安全に使えるかの確認
周囲の状況判断や操作ができるかを、
医師や専門家と相談して判断することが大切です。

電動車椅子を導入前に確認すること

・保管場所(雨を防げるか)
・充電環境(コンセント・バッテリー脱着)
・普段使う道の安全性(段差・踏切など)

生活環境に合う車椅子を選ぶことが大切さ

車椅子は、身体に合っていることに加えて、生活環境に合っているかが使いやすさを大きく左右します。

生活環境に合う車椅子のまとめ

・室内中心・住宅が狭い → スリム・コンパクトタイプ、6輪タイプ
・通院や旅行など車載が多い → 軽量+背折れ機能タイプ
・長距離移動や坂道が多い → 電動車椅子・電動アシストタイプ

特に、日本の住宅では「廊下幅」「ドア幅」「玄関段差」などが使いやすさに直結します。
カタログスペックだけでなく、実際に使う場所で問題なく動けるかを確認することが重要です。

ここまで、使用する場所や生活動線に合わせた車椅子選びについて解説しました。

ただし、どんなに環境に合った車椅子でも、サイズが身体に合っていなければ、本来の性能を発揮できません。

特に、座る幅や高さが合っていない場合、
・姿勢の崩れ
・疲れやすさ
・移乗のしにくさ

につながることがあります。

次は、車椅子選びで特に重要となる
「利用者の身体に合う寸法(座幅・座奥行・前座高)」
について解説していきます。

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4. 確認しておきたい「身体に合う3つの寸法」(座幅・座奥行・前座高)

車椅子は、身体にフィットしていることが最も重要です。

サイズが合わないと、
・疲れやすい
・姿勢が崩れる(仙骨座り・円背)
・床ずれの原因になる

といったトラブルにつながります。

車椅子を選ぶ際は、最低限
座幅/座奥行/前座高
の3つを確認しましょう。

座幅(シート幅):お尻の幅 + 3〜5cm

座った時のお尻の幅に、左右それぞれ2cm程度の余裕を加えたサイズが目安です。

■ 広すぎる場合
・体が傾きやすい
・自走時にハンドリムが遠くなる

■ 狭すぎる場合
・骨盤や太ももが圧迫される
・床ずれリスクが上がる

座奥行(シート奥行)|膝裏に指2〜3本分の隙間

深く座った状態で、膝裏と座面先端に3〜5cm程度の隙間を作ります。

■ 長すぎる場合
・膝裏に当たり痛みが出る
・お尻が前にずれて仙骨座りになりやすい

■ 短すぎる場合
・体圧が一点に集中
・床ずれリスクが上がる

前座高(座面の高さ)|立ちやすさ・足こぎのしやすさで決める

前座高は、移乗のしやすさと足こぎのしやすさに関わります。

■ 標準目安
下腿長+約5cm
(フットサポートと地面の隙間を確保するため)

■ 足こぎする場合
下腿長=座面高さ(±0〜3cm)
※低め設定が基本

■ クッション使用時
クッション厚分だけ座面が高くなります。
例:膝下40cm+クッション5cm → 車椅子側は約35cm前後

前座高の重要ポイント

前座高は
・低い → 足こぎしやすい
・高い → 立ち上がりやすい

という関係になります。

迷う場合は、前座高を後から調整できるタイプ(モジュールタイプ)も検討しましょう。

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5.安全性や快適性は十分?(ブレーキ忘れ/ずり落ち/移乗リスク/クッション)

車椅子生活では、転倒などの「事故リスク」と、ずり落ち・痛みなどの「座り心地」の両方を確認することが大切です。
よくある困りごとは、機能や付属品を選ぶことで未然に防げるケースが少なくありません。

「ブレーキのかけ忘れ」による転倒を防ぐための対策

立ち上がりのときに駐車ブレーキをかけ忘れると、車椅子が後ろへ動いてバランスを崩し、転倒につながることがあります。

対策(かけ忘れ対策の機構:自動ロック/後退しにくい仕組み)

立ち上がりなどの動作に合わせて「車椅子が動きにくくなる」「タイヤが自動的にロックされる」タイプがあります。
ブレーキ操作を忘れやすい方(認知症など)や、立ち上がり時にふらつきがある方は、かけ忘れによる事故リスクを下げやすい選択肢です。

選ぶときのポイント

・「駐車ブレーキの代わりになる仕組み」か、「後退を抑える補助」かで動き方が異なるため、目的(立ち上がり時の後退防止/移乗時の安定)に合うか確認する
・介助者がいる場合は、操作方法(解除の手順)まで含めて試してから導入する

「ずり落ち(仙骨座り)」を防ぐための対策

長時間座っていると、お尻が前に滑り「仙骨座り」になりやすい方がいます。
姿勢が崩れると、疲れやすさだけでなく、床ずれや誤嚥リスクにもつながるため対策が重要です。

  • 対策①(ティルト)
    座面ごと傾けられるティルトは、股関節の角度を保ったまま体を倒せるため、前滑りを抑えやすいのが強みです。
    背もたれだけ倒すリクライニングは、前ズレが出やすい場合があります。
  • 対策②(前滑りを抑える形状のクッション)
    前側が少し高く、お尻が収まりやすい形状のクッションは、前滑り対策として使いやすい選択肢です。
  • 対策③(背張り調整)
    背中の張りを体の丸みに合わせると、背中を包み込む形が作れ、押し出される力を逃がしやすくなります。

座り直しが難しい方/長時間で崩れやすい方は、
ティルト+リクライニング両方のタイプだと「ズレにくさ」と「休息」を両立しやすくなります。

「移乗リスク」を減らす対策

移乗(ベッド・トイレへの乗り移り)は、転倒が起きやすい場面のひとつです。
車椅子の機能と補助具を組み合わせると、抱え上げない移乗に近づけます。

  • 対策①(肘掛跳ね上げ/足置きの着脱)
    肘掛けの跳ね上げ/足置きの開閉・着脱ができるタイプは、対象物に近づきやすく、移乗動作のリスクを下げやすいです。
  • 対策②(トランスファーボード)
    座ったままお尻を滑らせて移る場合に有効です。
    使うには、肘掛けが外れる・跳ね上がるなどの条件が必要になります。
  • 対策③(リフト)
    座位保持が難しい方や、介助者の腰痛不安が強い場合は、リフトを使う方法が安全性の面で有利です。
    導入時は、着座しやすさのためにティルト付きが合うケースもあります。

「車椅子用シートベルト(安全ベルト)」┃安全と姿勢を守る

段差を越えたときの衝撃で体が浮く、前かがみになって転げ落ちそうになるなどの不安がある場合は、目的に合った車椅子用ベルトの併用を検討します。
車椅子に標準で付属する簡易ベルトでは支えが足りないケースもあり、その場合は後付けタイプで補うことができます。

ベルトの主な役割

・転落を防ぐ
・姿勢を安定させる

代表的なタイプ

・腰ベルト:骨盤を支え、座位を安定させやすい
・T字型/8の字型:体幹を支え、前倒れを防ぎやすい

使用時の注意点

ベルトは使い方によっては「身体拘束」に該当する可能性があります。
あくまで「動きを制限する」のではなく、「姿勢を支えて安全を確保する」目的で使用することが重要です。
本人が自分で外せるか、必要性を説明できるかを基準に、ケアマネジャーや専門職と相談しながら導入を検討しましょう。

足の「ずり落ち」「巻き込み」を防ぐフットレストベルト(足部ベルト)

足がステップから落ちる、タイヤやキャスターに触れそうになる場合は、足部ベルトで位置を安定させます。

  • 足落ち・巻き込み防止
  • 足が安定すると、姿勢が崩れにくくなる場合がある

注意:締め付け過ぎは不快感や循環不良につながるため、強さは必ず調整します。

足元の「痛み」や「冷え」を和らげる「フットレストカバー」

室内で靴を脱いで乗る方や、金属の冷たさ・当たりが気になる方は、カバーで足元を保護できます。

  • 足裏の当たりをやわらげる(保護)
  • 金属の冷えを軽減(保温)
  • 壁や介助者の足への衝撃を和らげる(安全面)

「車椅子用クッション」で快適性を高める

車椅子の座面は布一枚のことも多く、長時間だと痛みや姿勢崩れが出やすくなります。
クッションは目的で素材を選ぶのが基本です。

  • ウレタン:姿勢を安定させたい人向き
  • ジェル:振動・ズレへの対策を重視したい人向き
  • エア:体圧分散を重視(褥瘡リスクが高い人で選ばれやすい)

クッション選定の重要ポイント
クッションの厚み分だけ座面が高くなり、足つきや肘掛け高さが合わなくなることがあります。
前座高の選び方とセットで確認しましょう。

背もたれ用クッション:背中の「隙間」や「傾き」を支える

座面だけでは崩れる場合、背中側のサポートで改善するケースがあります。
ただし厚みで座奥行が短くなるため、まず背張り調整を確認し、必要なら追加する流れが失敗しにくいです。

ブレーキ操作がつらい人の対策:延長ブレーキ棒

ブレーキに手が届かない、レバーが硬い場合は、延長パーツで「軽く・近く」できます。

  • テコの原理で力が少なくて済む
  • 可動域が狭い人でも届きやすい

注意:移乗時に引っかかることがあるため、移乗頻度が高い人は形状(収納式など)も要チェック。です。

ワンハンドブレーキ搭載 ミキのカルティマ CRT-7
延長グリップ標準装備 日進医療器 シンウルトラ NA-U2W

医療機器を安全に運ぶ「酸素ボンベ架・ガートル掛け」

在宅酸素や点滴が必要な方は、取り付け可否だけでなく 「バランス」と「安全性」 が重要です。

  • 酸素ボンベ架:サイズ適合+転倒防止(後方荷重)
  • ガートル掛け:高さ調整/取付径(φ)や形状の適合確認
折りたたみが可能な 松永製作所 折りたたみボンベ架
折りたたみ可能な ボンベ楽(ラック)Ⅱ
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6.車椅子生活で不便を感じる点はないか(雨対策/荷物置き/便利グッズ)

車椅子は本体を選んで終わりではありません。
「雨で濡れてつらい」「荷物を持つと不安定」「外出先で置き場所に困る」など、生活の不便は小さなストレスとして積み重なります。
こうした悩みは、アクセサリーを足すだけで解決できることが多いため、よくある困りごと別に対策を整理しておきましょう。

雨の日の外出をラクにする「レイン対策」

雨の日は、濡れる不快感だけでなく、手元が滑ったり視界が悪くなったりして事故リスクも上がります。

  • レインコート(車椅子用)
    体と膝まわりをまとめて覆えるタイプは、足元の冷え・濡れを減らしやすいです。
    フード付きでも、首元が詰まりすぎない形が安心です。
  • レインカバー(車椅子・バッグ用)
    荷物が濡れると、替えの衣類や書類が使えなくなることがあります。バッグ用カバーを用意すると安心です。

選び方の注意
車輪やブレーキ周りに布が巻き込まれない長さか、反射材があるか(夜間)を確認しましょう。

タイヤカバー(泥・水はね防止)も雨の日には便利

タイヤカバーは、雨の日や泥跳ねの多い日の外出で、
・ズボンや足元が汚れる
・車椅子本体が泥だらけになる
といった悩みを軽減するグッズです。
タイヤ部分だけを覆い、水はねや泥はねを抑えるため、雨の日でも快適に移動できます。

選び方のポイント
・車椅子サイズ(前輪/後輪径)に合わせて選ぶ
・巻き込み防止形状かどうか確認
・脱着のしやすさ

荷物が増えても安定しやすい「収納アイテム」

荷物を膝に乗せる、片手でバッグを持つなどは、姿勢崩れ・転倒・肩こりの原因になりやすいです。

  • 背面バッグ(車椅子用バッグ)
    通院セットや上着などをまとめて収納でき、持ち手を減らせます。
  • サイドポーチ(肘掛け付近)
    スマホ・財布・鍵など「頻繁に出し入れする物」に向きます。
  • 買い物フック/杖ホルダー
    ぶら下げ収納は便利ですが、片側だけ重くなると走行バランスが崩れやすいので、左右の重さは意識しましょう。

選び方の注意
背面バッグは便利な反面、後方荷重が増えるため、坂道や段差で後ろにひっくり返りやすくなるケースがあります。
重い物は入れすぎず、必要に応じて転倒防止キャスターの有無も確認しましょう。

「冬の冷え」「夏のムレ」を減らす快適アイテム

快適性が落ちると、外出そのものが億劫になります。季節対策は早めに用意しておくと安心です。

  • ひざ掛け・フットマフ(足元カバー)
    足先は冷えやすく、血流が悪い方ほどつらさが出やすいです。固定できるタイプだとずれにくくなります。
  • シートカバー/通気性のよいクッションカバー
    ムレは皮膚トラブルにつながることがあります。洗える素材だと衛生管理もしやすいです。

段差・スロープで怖さがある人の「安全サポート」

屋外では「怖さ」が行動範囲を狭めがちです。安全に関わる部分は、優先度を上げて整えるのがおすすめです。

  • 転倒防止キャスター(転倒防止バー)
    荷物を背面に載せる方、坂道が多い方は特に相性が出やすいアイテムです。
  • 反射材/ライト
    夕方以降の外出がある方は、視認性を上げるだけで事故リスクを下げられます。

日常生活で役立つ小物

  • ドリンクホルダー:水分補給が増える人ほど便利
  • テーブル(簡易トレイ):食事・筆記・ちょい置きに役立つ
  • スマホホルダー:ナビや連絡が多い人向き
  • ネームタグ/連絡先カード:万一の迷子・事故時に役立つ

選び方の注意
机(トレイ)やホルダー類は、取り付け位置によって移乗の邪魔になることがあります。移乗が多い方は「着脱が簡単」「折りたたみ時に干渉しない」を優先しましょう。

車椅子の便利グッズ選びで失敗しないコツ

便利グッズは増やしすぎると、逆に扱いづらくなることがあります。
まずは次の順で選ぶのがおすすめです。

  1. 安全に関わるもの(転倒・ずり落ち・足の巻き込み)
  2. 外出のハードルを下げるもの(雨・荷物・冷え)
  3. 快適性を上げるもの(クッション・カバー・小物)

「今いちばん困っていること」から1つずつ足していくと、無駄なく整えられます。

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ケース別に考える|車椅子選びの近道

車椅子選びは、「どんな生活で、どんな場面に困っているか」を基準に考えることも大切です。

悩みごとに適した車椅子の種類や機能は異なります。
実際の介護現場でよくあるケース別に、選び方をまとめました。

自宅の廊下やドアが狭い

  • 悩み:廊下が通れない/方向転換ができない
  • 方向性:スリム・コンパクトタイプ、6輪タイプ

通院・買い物で車に積むことが多い

  • 悩み:積み下ろしが重い/トランクに入らない
  • 方向性:軽量タイプ、背折れ機能付き

長時間座ると姿勢が崩れる

  • 悩み:ずり落ちる/お尻が痛い
  • 方向性:ティルト・リクライニング、調整型+クッション

坂道や長距離移動がつらい

  • 悩み:押すのが重い/外出が億劫
  • 方向性:電動車椅子、電動アシスト
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車椅子介助で知っておきたい「基本テクニック」

車椅子の安全性は、車椅子の性能だけでなく「介助のしかた」で大きく変わります。
特に、段差・坂道・移動開始時は、操作を誤ると転倒や恐怖心につながりやすい場面です。

ここでは、介助を行う方が最低限押さえておきたい基本ポイントをまとめます。

① すべての動作は「声かけ」から始める

車椅子に乗っている方は、次に何が起こるか分からない動きに強い不安を感じます。

  • 「動きますね」
  • 「段差を上がります」
  • 「後ろ向きで下ります」

といったように、短く・具体的に予告してから操作するだけで、
体の力が抜け、安定して座ってもらいやすくなります。

② 段差は「前輪を浮かせて」安全に

小さな段差でも、前輪(キャスター)が引っかかると前方転倒の危険があります。

  • 上るとき
    ティッピングレバー(足踏みバー)を使い、前輪を浮かせてから段差に乗せる
  • 下りるとき
    必ず後ろ向きで、後輪からゆっくり下ろす

※ 前向きで下りると、前のめりになり転落する恐れがあります。

③ 坂道は「上りは慎重に/下りは後ろ向き」

坂道では重力の影響を強く受けます。

  • 上り坂
    前傾姿勢で押し、無理な場合はジグザグに進んで負担を軽減
  • 下り坂
    原則「後ろ向き」で進み、スピードが出ないよう慎重に操作

介助者が支えきれないと感じたら、電動アシスト付き車椅子も検討対象になります。

④ 溝・踏切・金網(グレーチング)は進入角度に注意

  • 踏切・深い溝:90度(直角)に進入
  • 側溝の金網:斜めに通過

前輪が溝にはまると動けなくなり、非常に危険です。

⑤ 停止・移乗時は必ず「両側ブレーキ」

  • 介助者が手を離すとき
  • ベッドやトイレへ移るとき

必ず左右両方の駐車ブレーキをかけることが基本です。
ブレーキのかけ忘れが心配な場合は、自動ブレーキ機能付き車椅子も有効です。

介助は「技術」だけでなく「安心づくり」も重要です。
介助の基本は、ゆっくり・声かけ・正しい手順で行いましょう。

これだけでも、

  • 転倒リスク
  • 利用者の恐怖心
  • 介助者の疲労

を大きく減らすことができます。

段差・坂道・移乗を図解で詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください

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レンタルと購入どっちがいい?|迷わない判断基準

車椅子は、「レンタルと購入、どちらを選べばいいのか?」ということで悩まれる方の多いです。

判断の基本は次のとおりです。

  • 身体の状態が変わりやすい → レンタル
  • 使う目的がはっきりしている → 購入

レンタルと購入それぞれのメリットを、整理していきたいと思います。

レンタルが向いている人|変化に対応できる安心感

介護保険の認定(原則 要介護2以上)を受けている場合、車椅子は月額レンタルが一般的です。

レンタル最大のメリットは、「車椅子が合わなければ交換できる」ことにあります。

車椅子レンタルが向いている人
  • 身体状況の変化に対応しやすい
    退院直後は姿勢保持重視、リハビリが進めば自走式へ、など
    状態に合わせて機種変更が可能です。
  • 実生活で「試せる」
    カタログ上は問題なくても、
    ・廊下が曲がれない
    ・長時間でお尻が痛い
    といった問題は使って初めて分かることもあります。
  • メンテナンス不要
    タイヤやブレーキの不具合も、レンタル料に含まれているため安心です。

    「長く使う」「毎日使う」「状態が読めない」場合はレンタルが基本です。

    購入が向いている人|目的が明確なケース

    一方、次のような場合は、車椅子を購入するのが向いています。

    車椅子購入が向いている人
    • 使う目的がはっきりしている
      例:
      ・旅行や外出用
      ・病院内の移動のみ
      ・車載専用の軽量モデル こうした用途では、レンタルに適した機種が少ないこともあります。
    • 自分仕様にこだわりたい
      体格に合わせた細かな調整、色やデザインの選択など、
      「自分専用」で使えるのは購入ならではのメリットです。
    • 長期間使う予定がある
      数年以上使う場合、トータル費用はレンタルより安くなるケースもあります。

    「用途限定・外出中心・軽量重視」なら購入が選択肢になります。

    レンタルか購入か迷ったときの「3つの判断ポイント」

    どちらにするか決めきれない場合は、次の3点を確認してください。

    判断ポイント
    1. 今の身体状態は変わりそう?
       → 変化がありそうなら「レンタル」
    2. 使う場所は決まっている?
       → 毎日・長時間使うなら「レンタル」
       → たまの外出・車載中心なら「購入」
    3. 介護保険は使える?
       → 要介護2以上なら原則「レンタル(1〜3割負担)」
       → 要支援・非該当・急ぎなら「購入」や「自費レンタル」
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    よくある質問(FAQ)

    選び方・サイズに関する質問

    Q. 自走式と介助式、どちらを選べば良いですか?
    A. 判断基準は「誰が動かすか」です。
    ご本人が少しでも自分でこぐなら「自走式」、移動をすべて介助者が行うなら「介助式」が基本です。
    迷う場合は、自走・介助どちらにも対応できる自走介助兼用タイプを選ぶと失敗しにくくなります。

    Q. 座幅(シート幅)はどのくらいが適切ですか?
    A. 「お尻の幅+3〜5cm」が目安です。
    座ったとき、太ももの横に手のひらが一枚ずつ入る程度が理想です。
    広すぎると姿勢が崩れやすく、狭すぎると圧迫や床ずれの原因になります。

    Q. ネット通販で車椅子を購入しても大丈夫ですか?
    A. サイズと用途が明確なら問題ありません。
    ただし初めて使う方や姿勢に不安がある場合は、試乗できないネット購入は失敗しやすくなります。
    可能であれば、福祉用具専門相談員への相談やデモ機での確認がおすすめです。

    Q. 中古の車椅子は選んでも大丈夫ですか?
    A. 状態が良ければ選択肢になりますが、注意が必要です。
    ブレーキやタイヤの劣化、保証の有無を必ず確認しましょう。
    安全性を重視する場合は、新品または整備されたレンタル品が安心です。

    機能・使い勝手に関する質問

    Q. タイヤは「エアー」と「ノーパンク」どちらが良いですか?
    A. 乗り心地重視ならエアー、管理の楽さならノーパンクです。
    屋外利用や快適性を重視するならエアー、空気管理が難しい場合はノーパンクが向いています。

    Q. 折りたためば、どの車にも積めますか?
    A. 「高さ」と「厚み」に注意が必要です。
    背折れ機能があれば高さは抑えられますが、多機能タイプは畳んでも厚みが出ることがあります。
    軽自動車などでは、事前に寸法確認が重要です。

    Q. ブレーキのかけ忘れが心配です。
    A. 自動ブレーキ付き車椅子が有効です。
    立ち上がり動作に連動してロックがかかる自動ブレーキ(ノンバックブレーキ)は、認知症の方やヒヤリハットが多い方の転倒予防に役立ちます。

    ※詳しくは以下の記事をご参照ください。

    制度・費用に関する質問

    Q. 介護保険を使うと費用はどうなりますか?
    A. 原則、1〜3割負担でレンタルできます。
    要介護2以上であれば、車椅子は月額レンタルの対象です。
    一方、車椅子本体の購入は原則として保険対象外となります。
    詳しくは、対象の市区町村へお問い合わせください。

    Q. 車椅子の寿命はどのくらいですか?
    A. 目安は5〜6年ですが、使用状況によります。
    タイヤやブレーキは消耗品のため、途中で交換が必要です。
    身体状況の変化により、寿命前に買い替え・機種変更が必要になることも少なくありません。

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    まとめ|車椅子は「目的 → 安全 → 快適」の順で選ぶ

    車椅子は、単なる移動手段ではありません。
    行動範囲を広げ、生活の選択肢を増やし、「その人らしい暮らし」を支えるための道具です。

    種類や機能が多く迷ったときは、細かなスペック比較に入る前に、
    次の4つの視点に立ち返って整理することが、失敗しない近道になります。

    ①「どこで・何のために使うか」を最初に決める

    まず考えるべきは性能ではなく、利用シーンです。

    • 通院・買い物・旅行など外出が中心
       → 持ち運びやすさを優先し、軽量・コンパクトタイプが適しています。
    • 自宅や施設で長時間座ることが多い
       → 姿勢保持や体圧分散を重視し、ティルト・リクライニングや調整機能のあるタイプを検討します。

    ②「サイズ」と「安全性」は妥協しない

    体に合わない車椅子は、
    疲労・姿勢崩れ・床ずれ・転倒といったトラブルの原因になります。

    • 最低限確認したいサイズ
       座幅(お尻の幅+ゆとり)
       前座高(足の着き方・立ち上がりやすさ)
    • 不安がある場合の安全対策
       ブレーキのかけ忘れが心配 → 自動ブレーキ
       足のずり落ちが心配 → フットサポート・ベルト類

    「心配になりそうな場面」を想像して機能を選ぶことが重要です。

    ③ 付属品(オプション)で“自分仕様”に仕上げる

    快適性は、本体だけで決まるものではありません。

    • お尻の痛みを軽減する クッション
    • 雨の日の外出を助ける レインカバー
    • 荷物を安全に運べる 収納バッグ

    必要な付属品を組み合わせることで、
    同じ車椅子でも使いやすさは大きく変わります。

    ④ 迷ったら「試してから決める」

    車椅子をカタログや写真だけでは、「家の廊下を通れるか」「長時間座ってつらくないか」を判断することは難しいです。

    • ケアマネジャー
    • 福祉用具専門相談員
    • 理学療法士・作業療法士(PT・OT)

    こうした専門職の力を借り、可能であればレンタルやデモ機で実際の生活環境で試すことが、失敗を防ぐ最善策です。

    車椅子選びは「生活を取り戻すための第一歩」

    車椅子は、「できなくなったこと」を補うためだけの道具ではなく、「またできるようになること」を増やすための道具です。

    この記事が、ご本人とご家族にとって、安全で、無理がなく、安心して使える一台を見つけるために役立てていただければ幸いです。

    監修・執筆者プロフィール

    執筆:もっちゃん (福祉用具専門相談員 / 福祉住環境コーディネーター2級 / 北海道)

    【経歴・専門領域】
    2015年より福祉用具業界に従事し、在宅介護の現場にて10年以上の実務経験を持つ。
    特に車椅子選定を得意とし、既製品の調整からオーダーメイド車椅子の設計・適合まで幅広く携わる。
    ケアマネジャーやリハビリ専門職とも連携し、これまでに多くのご家庭の福祉用具導入を支援してきた。

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